阿智村定例議会(令和6年9月5日)村長あいさつ
はじめに
9月になり暑い夏も終わり、特に朝夕は涼しい季節を迎えました。先週からの台風10号は日本列島横断という迷走のコースで心配されましたが、この地域は被害もなく一安心しているところです。今年の夏も、近年の異常気象、高温の真夏日が続き、全国では水不足であったり、農産物特に梨の実りが小玉になってしまうなど一部影響がありました。一方ではお盆中関東への台風により水害の地域もあり、予想もつかないような夏でありました。これから長雨や台風の時期で農作物の影響も心配されますので細心の注意をしていきたいと思います。
8月8日には宮崎県を中心に震度6弱の地震が起きました。この地震は南海トラフにも関係があるとして、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が出され、当村では8日に第1次防災体制をとり、14日までの1週間宿日直を2名ずつの体制としました。幸いにもその後南海トラフ関係の地震は起きなかった為、一安心ですがいつ何が起きるかわからない昨今の状況です。しっかりとした体制で防災対策に取り組むつもりです。
そして8月25日には防災の日、前でしたが、震度5強の災害が起きたと想定して、村内一斉に防災訓練を実施しました。近年集中したゲリラ豪雨や地震、噴火などいつ災害が起きるかわかりません。村ではこれから避難所への停電時の非常電源確保など万全の体制は取りますが、行政が万が一機能しなくなった時の自主防災組織のあり方や、具体的な動きなど是非、各自治会でも体制を整えて頂きたいと思っています。
国では岸田首相が辞任の意向を述べられ、現在自民党総裁の立候補者選出の最中であり、国政は大変不安定な状況です。おそらく決定次第、衆議院選挙もすぐに予定されており混沌とした忙しい秋となりそうです。アメリカ大統領選も同時に控えており、世界情勢にも影響があるだけに、こちらも注目度の高い選挙となりそうです。
村の状況ついて
この9月議会では令和5年度の決算がまとまりましたので、議会中に報告させて頂くことになっています。
昨年は、コロナが5類感染症移行となった事で様々な制約が解除された事で経済を回す政策や、一方で紛争等による物価高騰で、事業者や消費者への対策で事業を行いました。
50%プレミアムがつく支えましょう品券の発行や、事業者への電気ガス等のエネルギー価格高騰対策事業、農業者への肥料農薬価格高騰緊急支援事業補助金によって、この危機を少しでも乗り切って頂けたと思います。住民には5,000円分の福祉灯油等購入の助成事業を行いました。インフラとしては、中央道伏谷橋の撤去工事や伍和丸山地区への宅地造成、阿智第一小や第二小の改修工事などさせて頂きました。
そして、昼神温泉郷が50周年という節目の年でしたので、大々的に記念式典、リニア新時代構想の発表、住民のための村民感謝Day、駅伝大会を昼神温泉で開催など様々な事業を展開させて頂きました。他にマイナンバーカード交付強化、環境対策として国の補助金を活用し、Ev自動車購入、急速充電設備設置を行いました。
基金は令和4年度末が71億3,241万円、5年度末が68億3,123万円、借金を表す村債が令和4年度末が28億9,870万円、5年度末が26億6,193万円であり、財政の健全化を見る指標については、経常収支比率は81.3%、実質公債比率は、1月6日%となっています。基金は約3億の減少ですが、債務は約2億3千万減少しており、全体のバランスを見れば今のところ健全な体制が維持できています。
しかし地方交付税は年々減少、社会保障費の増など全国共通の悩みをかかえていますので、将来を見据え安定した村政が運営できるよう精進して参るつもりです。
オーストラリア海外語学研修旅行
事前準備から始まり約5か月間の学習を重ねて参りましたオーストラリア海外語学研修旅行は8月5日に出発し、9日までの4泊5日の日程で、小学生から高校生までの26名が参加し無事行って参りました。
セントレア空港を出発し途中シンガポール経由でのオーストラリアパースへは14時間の長旅でしたが、皆元気で多くの方との交流、見るもの体験するもの全てが参加した子供たちのこれからの人生の糧となった事と思います。帰国して勉強してきたことをまとめ、報告会が予定されていますので又楽しみにしたいと思います。
阿智村マッチボックス
8月1日からは企業等の人手不足を解消するために、村公式の単発求人サイト「阿智村マッチボックス」を開設しました。空いた時間に地域の仕事をお手伝いできるシステムとして、スマホやパソコン等で簡単に早く阿智村の企業や、福祉施設、農家等とマッチングできる仕組みになっています。
近年、旅館や製造業などで人出不足が目立つ中、短時間で単発の雇用契約が成立しやすくなるうえ、そうした状況が長期雇用につながる可能性が増え、求職者として子育て世代、高齢者をはじめ幅広い人材がこの仕組みを活用し、柔軟に働けるようになる事と、村の経済活性化につなげる目的です。
この1か月にも村内の13の事業所が求人を登録し、掲載件数323件、応募件数124件、そのうち採用件数68件、実人数33人の方がこの夏場にマッチングの実績がありました。登録者数も156名で地域別のデータ、40代女性が多いなど、今後のマーケティングにも役立ちます。県内では初の取り組みとなります。今後にさらに期待したいと思います。
阿智の夏まつり
恒例の阿智の夏まつりは7月27日に開催しました。夕立等の情報でお神輿は中止の判断をさせて頂きましたが、お陰様で夜は晴天に恵まれ、本当に多くの皆さんに花火を見て頂くことができました。昨年に引き続き、打ち上げが例年の中州では出来なくなった為、会場を変えての打ち上げや、開会式を駒場自治会館前にて、一体感のある集約した演出、音響の工夫などさせて頂きました。
楽しんで頂けたのも御寄付頂いた多くの企業や村民の皆様、そして関係者の皆様のご尽力の賜物と感謝致します。お盆の14日には浪合でも大煙火大会、昼神では数日間に亘って盆踊り等の夏祭り、各地域でも、夏祭り等の行事が盛大に行われ帰省客の皆さんと楽しいひと時を過ごされたようであります。
南信州フォレストパーク
8月11日には南信州フォレストパーク「森の収穫祭」を治部坂高原で開催しました。
今年で2回目となり、高原の涼を求めて大変多くの方にお越し頂きました。阿智・平谷・根羽の農産物が集合し、特にとうもろこしの人気は高く、浪合とうもろこしのブースは半日で500本が売れたそうです。環境をテーマに森が生み出す水や空気、そこで作られる美味しい野菜のPRができました。
お客様のデータを取ったところ、愛知県からのお客様が多く、飯田や地元の皆さんも次いで多く、今後の展開の参考となりました。
農産物の無人販売スタンプラリーも同時開催し、西部地区は現在6か所の無人販売が点在し、いつでも美味しい野菜が手に入るしくみ、ドライブするきっかけ作りなど、新しい試みも始まりました。販売所は地元材で作られていますので、木のぬくもりも味わいながら楽しんで頂ければと思います。
いきいき健康大学
民生関係では「いきいき健康大学」が前期は6月に開校し、9月から後半が始まりました。いつまでも健康で自分らしく長生きできるよう、地域包括支援センターが中心となり企画したものですが、6月~7月には52名の方が受講されました。9~10月の受講は、50名以上の方にお申込み頂いており、皆さん健康に関心が高いことが伺えます。
また、6月から介護施設の人材確保のために開催している「介護のための入門的研修」には村内施設の職員をはじめ20名の方に受講頂いています。
将来、村内の福祉業務を担う人材となることを期待します。
さらに、現在ケーブルテレビで放映中の「あち健康テレビ」は、今年度「脳卒中予防」をテーマにお送りしています。村の脳卒中死亡率が、全国平均より高い状況から、脳卒中を見逃さないサインや夏場の予防など、2か月ごとにテーマを変えてお伝えしています。是非、多くの皆さんにご覧頂ければと思います。
リニア中央新幹線
清内路地区の振興のため発生土の有効活用に数か所の候補地を地区の皆様からご意見頂き、現在調査等を進めています。
クララ沢や坊主ヶ島の調査や地権者の交渉がされていますが、村道1-20号線の改良工事と併せ、スピーディーに安心安全に工事が進むよう、自治会の皆さんや村のリニア対策委員会の皆様に、容認を頂 き、協定書や確認書等の締結を行いました。南木曽の発生土を清内路振興のために使う事も確認頂きました。又迂回路設置に必要なヤード整備に伴うジビエ加工施設の移転も急ピッチで進めています。
七夕まつり
7月から昼神温泉を中心に七夕まつりが始まり、梅雨時の観光施策にと本年からスタートしました。
竹あかりで村の中を彩り、シードルフェアなどの企画、各旅館の七夕プランの企画、ヘブンスそのはらの再オープンなど、夏休みからお盆の盛況に繋がる企画 ができました。農業とも連携し、清内路かぼちゃのクラフトビール制作、浪合とうもろこしツアーなど大変盛況でありました。
国や県に対して、7月は南信州広域連合や道路の期成同盟会として様々な要望活動も行って参りました。飯田南バイパスの要望も熱が入って参りましたし、国道153、256号線、県道の改良工事や治水対策など、設備ができて経年劣化しておりメンテナンスの重要性もあり、私たちの生活の安全のために、今後も引き続き要望をして参りたいと思います。
その他、大河ドラマPR活動、ははき木の学習会やイベント、こまんばマルシェ、充実した公民館行事、小中学生の沖縄研修、戦没殉難者追悼式などこの夏も阿智村の住民の皆さんは、元気に活躍して頂きました。
上程議案
本議会においてご審議頂く案件は、人事案件1件、条例案件2件、事件案件1件、決算案件6件、予算案件2件、その他案件1件、報告案件1件であります。
人事案件1件
阿智村教育委員1名の方について、任期満了に伴う任命に関する同意をお願いしたい件になります。
条例案件2件
「阿智村国民健康保険条例の一部を改正する条例の制定について」は、国民健康保険法の改正に伴い、被保険者証に変わる文言の置換えを行うものです。
「阿智村若者定住住宅設置及び管理条例の一部を改正する条例の制定について」は、清内路地区空き家を改修し、住宅として募集できるようになりましたので、条例の一部を改正するものです。詳細につ いては上程の都度詳しくご説明いたします。
事件案件1件、報告案件1件
自動車事故による損害があり、対人対物賠償額が確定しましたので、お願いするものであります。又村道のグレーチングの留め具が外れ、車両のタイヤが破損した損害賠償額であります。
決算案件6件
決算案件は、令和5年度阿智村一般会計及び各特別会計決算の承認を得るものであります。
一般会計決算は、歳入合計6,592,452,598円、歳出合計6,181,793,916円、歳入歳出差引額410,658,682円、翌年度への繰り越し財源151,810,000円を差し引いた実質残額は、258,848,682円となりま した。
歳入について見てみますと、村税795,367千円であり昨年より1月9日%の増、地方交付税は2,895,863千円と昨年より0.3%の増でありました。
歳出については、冒頭で述べた通りです。
特別会計の詳細については上程の都度詳しくご説明いたしますのでよろしくお願いいたします。
予算案件2件
予算案件は、一般、特別ともに補正予算についてであります。
一般会計補正予算第3号は、既定の歳入歳出予算に歳入歳出それぞれ515,171千円を追加し歳入歳出総額6,663,982千円とするものであります。
歳出の主なものは、
・顧問弁護士委託料 2,000千円
・コミュニティ館軒天井修繕工事 1,300千円
・リニア対策事業費 90,500千円
・夢のつばさ整備事業補助金 26,150千円
・新型コロナワクチン接種委託料 11,651千円
・鳥獣捕獲報償費 15,800千円
・ジビエ加工施設整備工事関連 60,000千円
・村道維持補修工事 50,000千円
・消防団員自動車運転免許取得費補助金 1,440千円
・清内路公民館トイレ修繕 4,700千円
・前年度繰越金の2分の1を財政調整基金に積立 80,000千円
特にジビエ加工施設整備工事関連につきましては、リニア工事関連で、村道1-20号線の迂回路建設工事に伴い、現在のジビエ加工施設の移転を余儀なくされるため、予算を盛らせて頂きました。
財源はJR東海の負担金となります。又夢のつばさのグループホーム建設に伴い、村から規定により整備事業補助金を出させて頂く予定になっています。
特別会計については必要な補正を行います。
以上、ご審議いただく案件についてご説明いたしました。詳細については上程の都度詳しくご説明いたしますのでよろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
おわりに
さて、私事ではありますが、この場をお借りして村民の皆さんにご報告しなければならない事があります。
去る4月16日に午前中休暇を取り、南木曽町長選挙の告示日に併せ南木曽町に訪問しました。
私用車で行ったのですが、その帰りに国道19号線にてスピード違反でオービス自動取締機に検知され、その後長野県警木曽分駐隊への事情徴収、検察での聞き取りなど経て、30キロ以上オーバーによる 罰金金、講習など受け1日免許停止の行政処分を受けました。現場での検挙ではなかった為、時間がかかった経緯があり6月末に全てが確定ということで、対応など検討し、定例議会での報告という事で進めさせて頂きました。
まず、模範的立場である行政の長である私が、スピード違反という交通ルールを破ってしまった事に大きく反省し、そして、途中経過でも議員の皆様に報告をしながら対応すべきだった事を深く反省しております。本議会中に責任を取らせて頂く条例案を提出予定ですが、村民の皆様からの信頼という面で裏切ってしまった事に責任を感じております。深くお詫び申し上げ、二度とこのような事のないよう注意致します。誠に申し訳ありませんでした。
これから、栗矢の無礼講が始まり、各地域でお祭りや敬老会、運動会と多くの皆さんが協力して楽しんで頂く機会が多かろうと思います。私もお伺いさせて頂いて村民の皆さんと直接お話ができる場でもあります。皆さんが集う中で村の将来の事を話す場でもあればよいかと思っています。
今年も9月16日の敬老の日を中心に、百歳、米寿の方などにお祝いの訪問をさせて頂く事になっています。皆さんいつまでもお元気で、村の歴史や伝統、素晴らしさをしっかり私達に伝えていってもらいたいと願います。
以上本会議に上程いたします議案等について申し上げました。現議員の皆さんにとって、任期中最後の定例議会となります。みなさんと共に住みたい地域、夢のある地域に向かって、いい村作りにまい進していきますようご尽力をお願いして9月定例議会のあいさつと致します。