阿智村定例議会(令和7年6月5日)村長あいさつ
はじめに
阿智村では田植えや野菜の植え付けもほとんどの皆さんが終えられ、一息ついたこの6月上旬だと思います。5月下旬から、日中は真夏のような暑い時もあり、朝夕の寒暖差があり、これから梅雨に入り、農作物や体調面でも不調がないよう注意したいものです。
国政では7月下旬に参議院議員選挙が行われる予定であり、米の値段の高騰による備蓄米の問題、アメリカ大統領による関税問題などの外交等、重要な選挙と位置付けられ、前回よりも投票率向上の目標に努めたいと思います。
村の状況について
盛況だった今年のゴールデンウイークについてまずお話させて頂きます。天気が全般的に素晴らしかった事と、今年は智里西の花桃の開花が、ちょうど連休中にピークを迎えることができましたので、花桃まつりに多くの方にお越し頂くことができました。4月中旬の気温の上昇により一気に花が咲き、昼神温泉では多くの観光客で賑わいましたし、昨年土砂崩落による交通規制により、まつりが開催できなかった分、お客様も楽しみにしてくれていた方も多く、ここ近年では最高の人出でした。車両で約22,000台、観光バスや、昼神からの送迎バスなど、おおよそ10万人の方にお越し頂いた試算になります。
昨年の、開催できずに悲しく悔しい想い、未来永劫続く花桃まつりのための試練として、運営の仕方、駐車場配備の工夫、交通方法など検討できる事ができましたので、活かすことができたと思っています。
宿泊税について
次に、昨年3月に検討委員会から答申を頂き検討を進めて参りました宿泊税については、長野県や県内で検討している自治体も多く、調整をする事が最優先と考え進めてきました。度重なる昼神温泉経営者会との意見交換、産業振興協議会観光部会での最終まとめ、パブリックコメント、住民説明会を経て今議会で条例案を提出させて頂きます。
阿智村が観光による持続可能な地域づくりを目指し、阿智村らしい昼神温泉や日本一の星空や花桃、絶景の自然など阿智村らしい観光コンテンツに磨きをかけ、旅行者の受入れ環境の整備や昼神温泉リニア新時代構想の実現のため導入するものです。
来年令和8年6月からの開始を目標に、宿泊者に村税200円、県税100円、計300円の宿泊税をお願いするものです。
6,000円の免税点や修学旅行生などの免除は県に合わせます。年間約5,500万円の税収を見込みます。
はたちの集いについて
5月3日には、恒例のはたちの集いを開催しました。今年も多くの人が安心して集まれる式にするにはどうしたらよいか、思い出に残る楽しく有意義な式にするにはと実行委員会で早くから検討し、61人中52人の出席と例年に比べ高い出席率でした。
久々に会う仲間や恩師との出会いや、高校時代からほとんどコロナで制約されてきた生活のせいもあってか、いつまでも懐かしい話に花を咲かせていました。記念品として、阿智村で捕獲した鹿の皮を使った名刺入れをプレゼントさせて頂き、新成人達に鳥獣駆除のしくみも感じて頂けたのではと思っています。
学校のあり方検討委員会について
4月上旬には教育委員会主催による学校あり方検討委員会の中間答申の説明会が各地区で行われました。これからの少子化による現状をふまえ、阿智村の教育の方向性を探る話し合いです。検討委員会の皆さんの1年間に亘る検討や、講演会、阿智村の教育を考える全体フォーラム、北信の信濃小中学校への教育視察など取り組んできた成果と研究をまとめた中間答申でした。
各地域で人数の差異はあったものの、多くの方に参加頂きました。又、同時に実施した村民へのパブリックコメントでは、延べ34人の村民から102件の意見要望が寄せられました。
農業について
5月当初一時気温が下がり一部では霜の被害もありましたが、全般的に安定した気候で水稲、野菜など順調に育っているようです。6月2日には産業振興公社の定期総会を開催し、社員464名の皆さんの協力の下、令和6年度の販売額は1億2,400万円を超え過去最高、令和5年度に植えた生食用、ワイン用のぶどう約450本が順調に育っている報告や、昼神温泉旅館との連携や地元企業との連携、新加工商品として大豆加工品やキューブ米の開発報告も受け、観光業と連携した新たな農産物の展開に期待したいところです。
民生関係について
皆さんに健康で過ごして頂くために、昨年度に引き続きいきいき健康大学をこの5月より開始しました。村内6会場で第1回目を開催し、計80名の参加がありました。保健師と包括支援センターでは、心と身体の健康のために、健康テレビを作成し、5月から番組を放映しています。今年度も全国と比較して男女共に死亡率が高い「脳血管疾患」をテーマにその予防策や対応策など、年間を通して配信していきます。是非多くの皆さんにご覧いただきたいと思います。
5月28日に国民健康保険運営協議会が開かれ、令和7年度の国保税率改定等について協議されました。平成30年の国保制度の都道府県単位化に伴い、県が国保財政の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等、国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化させる取り組みが始まっています。村としては住民との身近な関係の中で資格管理ときめ細かな保健事業を担うほか、保険給付に要する納付金として保険税を県へ納付することになっています。
その保険税率の決定にあたっては県が示す標準的な保険料率を参考に市町村が決定することになっていますが、国は将来的に同一都道府県内においては保険料水準を統一することを目指しています。現在本村ではこの水準に達する税率ではなく、数年をかけてそこに近づけて行く方針を運協で確認頂いています。
今回村が国保運協に諮問し、答申を受けた令和7年度の国保税率は、昨年変更した点もあり、昨年同様の税率での答申を頂きました。詳細については今定例会の中でご審議いただきますので宜しくお願いします。
ごみゼロ運動について
5月25日には、雨の中ではありましたが全村民あげて「ごみゼロ運動」を実施して頂きました。各地域単位での作業は、住民が集まり、自分達が住んでいる地域をきれいにする事と、地域のコミュニケーションをはかる上で大変重要な行事です。地域の皆さんには道路の草刈作業や支障木の伐採、花の植え付けなど、環境の素晴らしい美しい村のために、ご尽力下さり大変感謝する次第です。
上程議案
条例案件
・阿智村宿泊税条例の制定について
・資金積立基金条例の一部改正について
・阿智村国民健康保険税条例の一部を改正する条例の制定について
・阿智村若者定住住宅設置及び管理条例の一部を改正する条例の制定について
予算案件
令和7年度阿智村一般会計補正予算第1号
歳入歳出それぞれ 1億2,634万9千円を追加
歳入歳出予算総額 77億3,334万9千円
主な事業と予算
・リニア発生土置き場造成工事測量設計委託 1,000万円
・リニア発生土置き場造成工事請負費 4,000万円
・議会用タブレット端末リース料 36万円
・地域プロジェクトマネージャー報酬等 1,020万円
(歳入に国県他の財源など見込めるものとしてリニア関係の事業費や総務省の制度で見込める地域プロジェクトマネージャー報酬)
おわりに
5月23日に熊谷元一さんの写真を後世に伝えていくためにユネスコの「世界の記憶」に登録されるよう推進委員会が発足しました。この登録は2年毎の申請で、国際登録されているものが、世界中で570点、そのうち日本からの登録作品が9点あるそうです。代表的なものにグーテンベルクの活版印刷の聖書や東寺百合文書があります。70年に渡って撮影した時代の人々や子供の生活記録写真、阿智村という1つの地域を通して農村をテーマにした写真など、熊谷元一さんの作品を改めて検証し、ハードルは高いかもしれませんが挑戦してみようというものです。世界の記憶登録に向けてキックオフシンポジウムを8月23日に開催予定です。
最後に昨年に引き続き7月から七夕まつりを昼神温泉を中心に開催します。放置竹林の問題を解決しながら、竹あかりを住民、旅館関係者が約3か月かけて作成し、昼神温泉郷に設置する予定です。日本一の星空と竹あかりを眺めながら、環境の事も考えるイベントとして8月31日まで長期間開催されます。温泉郷も七夕プランの宿泊、食事を用意し、住民と観光客が一体となってこの企画を盛り上げます。詳しくは案内が出ますのでよろしくお願いいたします。
以上申し上げまして、6月議会定例会開会にあたってのあいさつとさせて頂きます。どうぞよろしくお願い申し上げます。