阿智村定例議会(令和6年12月5日)村長あいさつ
はじめに
12月定例議会に際しまして一言ごあいさつ申し上げます。
いよいよ今年もあと1ヶ月となり、師走の大変寒く忙しい時期となりました。まずは先般の村議会議員選挙においてご当選された皆様にお祝い申し上げると共に、先日の臨時議会において熊谷議長さんが選出され新しい体制でこれから進んでいかれることに対し、行政と議会はよく言われる車の両輪でございますので今後ともよろしくお願いいたします。少子高齢化による人口減少の事、リニア中央新幹線、まちづくりなどこれから村の明るい将来のため論議し進んでいけるよう改めてよろしくお願いいたします。
さて、国政においては、衆議院議員選挙が秋に行われ、国民の審判が下されました。自公連立の与党が過半数に達せないまま引き続き政権を担うことになりましたが、石破内閣の持論である「地方創生を中核に据えた成長戦略「地域経済活性化」「少子化対策」など争点はいくつかあり各政党論議が及びました。今後も引き続き、私共が住んでいる阿智村や各市町村がしっかり主張し、地方の声に耳を傾けて頂き「地方が元気になることが日本が元気になる」という信念に基づいた政策が行われることに期待いたすところであります。
村の状況について
さて、阿智村ではこの3か月の間に様々な出来事がありました。主なものをいくつか述べさせて頂きます。
地区懇談会
村では11月に各自治会で地区懇談会を開催し、「産業」「教育・福祉・健康」「くらし」の3分科会に分かれてご意見を頂きました。どの地区においても共通の課題は、人口減少や災害対策、森林整備、空家の事や遊休農地のことなど活発に意見が出ました。23日土曜日には各地区で出席できない方や若い方、夜間に出られない方を中心に開催しました。子育ての事や健康作り福祉の面で活発な意見を頂きましたし、皆さんの生の声を聞く事ができました。令和7年度の事業計画、予算に向けて有意義な懇談会にすることができました。
教育関係
10月31日には、中学1年生対象にキャリアメッセを開催しました。商工会や地元企業の協力の元、体育館にブースを設け、それぞれに仕事の内容や働くことの意味を説明しました。生徒達は自分の希望するブースを回り、阿智村にどんな企業があるか、大人になった時どんな仕事に就きたいかなど、勉強になったと思います。中学生のうちから地元の企業を学び、将来地域を支える人材になってくれる事を期待するキャリア教育には、今後もさらに力を入れていきたいと考えています。
子ども家庭センターの改修
保健センター内に子ども家庭センターの改修を行っておりましたが、この程目途がつき、最終調整を経て、新年1月8日に開所式を執り行います。これによりスタッフが一同に揃いワンストップの体制で、妊産婦から18歳の児童までの、子どもに関する相談窓口など業務をして参る事になります。よろしくお願いいたします。
阿智村駅伝大会
11月24日に開催された第55回阿智村駅伝大会では、37チームが参加し、好天のもと賑やかに開催できました。昨年は昼神温泉出湯50周年で温泉郷を会場に運営しましたが、役場と中学を周回するコースに戻し開催させて頂きました。南信州地域の中でも55回という伝統は、天龍村の梅花駅伝と共に歴史があり、走る人、支えるスタッフ、応援する人が一体となった、今や阿智村の最大のイベントとなりました。多くの皆様に支えて頂いているこの駅伝大会が長く続いて、さらなる絆が深まるよう期待したいと思います。
福祉と健康のつどい
12月1日には福祉と健康のつどいを中央公民館で開催しました。いつまでも健康で元気に暮らし、健康づくりや介護予防に取り組むきっかけとしてのこの事業は、大変人気があり約150名の多くの方にご参加頂きました。特にご夫婦での参加、男性の方の姿も多く、体脂肪やストレスチェックなどの健康測定、Vr認知症体験など行いました。民生課では健康常会や健康大学、認知症の講座をきめ細やかに開催し、住民の健康への意識を高める事業に力を入れています。その効果が数年後にしっかり表れてくると期待しています。
原油高騰、物価高における経済状況
商工会によりますと、製造業者の皆さんからは、以前よりは落ち着いたが人手が足りず大変困っているとの事や円安で原材料費高騰で厳しいそうです。小売業はプレミアム商品券の効果もあり、3ヶ月前よりは売上げ微増との事。飲食業はコロナ禍の習慣で宴会が少なくなり厳しいとの事です。
観光業
紅葉のトップシーズンという事もあり、例年に比べ観光客数は微減だが客単価の増もあり好調の声を頂きました。しかし、コロナ前の同時期に比べれば売り上げは8割程であり、依然として厳しいとの事です。農林業は、夏の暑さと暖かい秋、多少の雨により松茸の収穫量は大変好調な反面、カメムシの発生等でりんご米などの品質が低下し、厳しいとの事です。
ハローワーク
求人倍率は現在、1.35倍です。地域全体では好調な状況ですので、人手不足の解消に、知恵と工夫で企業側の対応も重要であります。
マッチボックス
そんな中、当村で8月から始めている求人マッチングサイト、マッチボックスはこの4か月で36の事業所が登録し、181件88人の方がマッチングして働いて頂いています。農商工業の人手不足に少しでも功を奏す事業ができていると感じています。
宿泊税
観光財源の目的税となる宿泊税については、県の方針が9月に発表され、これから詳細、条例等が審議されていくわけですが、当村としましても昨年開催した検討委員会からの答申や産業振興協議会観光部会、昼神温泉経営者会などのご意見をふまえ、阿智村の独自課税の方針を打ち出し、例えば20,000円以下の宿泊には300円、以上は500円を課税させて頂く案など、3月定例会での条例案提出、令和8年4月施行をめざし取り組んで参ります。
熊谷元一写真コンクール表彰式
テーマは「笑顔」で、今年も全国から186人621点の応募がありました。お祭りやイベント、家族などの「笑顔」のテーマは、人とのコミュニケーションが取れなくなってしまった今、大変重いテーマであり、今年も力作が勢ぞろい致しました。全国規模の大きなコンクールとなりましたので、力作が揃う中で、大賞に佐久市の三石さんの作品が選ばれました。元一先生の写真は歴史を振り返るうえで大変参考になり、大変懐かしく、これからの私たちの生き方、日本の進むべき道を考えさせられる事を感じ、記録写真を残していく事の重要性を改めて感じました。来年のテーマは「なかよし」です。是非とも来年も多くの方に応募頂きたいと思っています。
公共交通バス
村内公共交通のバスですが10月から70歳以上を無料とさせて頂きました。10月の1か月での全体5路線の利用者数は1,585人であり、年々減少傾向でしたが、昨年比4%の増でありました。大変ありがたいとの感想、バスで村内ミニ観光めぐりをする高齢者の方も増えているようです。
徐々に、行事やイベントも行えるようになり、11月2、3日には村民の皆様の展示やステージ発表もあり、楽しんで頂いた阿智祭、村政功労表彰式、伝統の清内路花火、こまんばマルシェなど、地域のコミュニティの場が復活し、皆さんがそれぞれの会場で元気で活躍する姿を見て大変うれしく思いました。
議会案件について
本定例会においてご審議頂く案件について申し上げます。
案件は、人事案件1件、条例案件5件、締結案件1件、指定管理者の指定に関する案件6件、予算案件3件であります。
人事案件
固定資産評価審査委員の内1名が任期満了になりますので、選任について同意を求めるものであります。条例案件のうち、「阿智村福祉医療費支給に関する条例の一部を改正する条例」の制定については、国民健康保険法が改正されることに伴い、被保険者証に変わる文言の置換えを行うためです。他の条例案件などの詳細は、後程説明させて頂きます。
予算案件
令和6年度阿智村一般会計補正予算第5号は、既定の歳入歳出予算総額から、それぞれ19,000千円を増額して歳入歳出予算総額をそれぞれ6,700,979千円とするものです。
歳出の主なものは、
・福祉灯油等購入費助成事業 12,700千円
・中央公民館ボイラー更新工事 6,300千円
特に寒い冬を迎え、原油の高騰により灯油の単価が高いため、1世帯に5,000円づつ全世帯に、灯油・ガソリン券をお配りさせて頂きたいと考えています。依然として続く物価の高騰により、住民の方に少しでも家計に役立てばとの思いで、補正予算に組み込まさせて頂きました。
以上がご審議いただく案件であります。上程の都度詳しく説明致しますのでよろしくご審議を頂きますようお願い致します。
おわりに
令和6年もあと1か月です。これから令和7年度の予算編成に向けて、地区懇談会、各自治会や各種団体からの要望、計画審議会等を経て準備を進めて参ります。第6次総合計画の大綱の中で、令和6年度これまで進めてきた中で、これからの進むべき方向性や課題も明らかになってきましたので、主要な方針について述べさせて頂きます。
まずは人口の問題についてですが、この事についてはこの数年最も重要ポイントとして取り組んできました。阿智家族として、協働活動推進課を中心に全庁あげて様々な政策をうってきましたが、さらなる分析のもと引き続き取り組んでいきたいと考えます。
そこで具体的に「若者世代に直接届く政策を推進し、地道でも各課が工夫し、若者から子育て世代に響く政策を考えていきます。学校のあり方検討委員会も来年3月には中間まとめを頂くことで、次の展開に進んで参ります。
次にまちづくりについては、長い期間の検討を経て、リニア時代を見据え、わいwai公園や七久里開発、昼神温泉構想の具体的な計画実施と、それに伴い農商工観の産業の連携活性化により、若者に夢のある、暮らしたい、訪れたい地域になるよう持っていきたいと思います。新しい税の形、宿泊税の制度化にも力を入れ、もちろん健康福祉は基本中の基本に、あたりまえに暮らしやすい、幸せと感じる阿智村にと考えています。
令和8年度は村政70周年となります。来年度はその準備期間として、記念事業等の企画を進めて参りたいと思います。
南信州、飯田下伊那地区での令和6年度は、4月早々にJR東海からリニア中央新幹線の開業が2034年以降に延期との発表があり、当初予定の2027年に向けてまちづくりなど準備を進めていただけに、落胆から始まりました。しかし、工事は徐々に進められており、駅周辺整備や二次交通の事、発生土の問題等議論が熱く進んでいます。又、現飯田警察署に運転免許センター併設が令和11年に決まり、令和7年には創造館の機能が旧地場産業センターに移り、エスバードには信大による水素を作る実証タウン計画が示され、南信州ナンバー導入などリニア時代に向け動きがあります。広域全体の事を考えながら、当村としての役割、戦略を考え、今後進むべき道を示して参りたいと考えます。
最後になりましたが、後程、特別職の減給について上程させて頂きますが、60代、会計年度任用職員がこの9月に通勤の際、警察官に止められアルコール検査を受け、酒気帯び運転が発覚しました。これは公務員として、社会人としての最低のモラル、交通ルールを守るべきものであります。詳しくは後程お話させて頂きますが、村民の皆さんにご迷惑をお掛けしたことに深くお詫び申し上げます。当村役場では昨年から交通ルールの不祥事が続けてあり、私自身も含め気を引き締めて、二度とこのような事のないようにしっかり取り組んで参る所存です。重ねて申し訳ございませんでした。
以上本会議に上程いたします議案等について申し上げました。安心で夢のある地域に向かって一緒になっていい村作りにまい進していきますようご協力をお願いしてあいさつとさせて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。