第4回「家族」
五十嵐邦彦(秋田県雄物川町)
「喜びの日」
撮影場所: 秋田県雄物川町
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講評
第4回 家族 審査員長 後藤総一郎(明治大学教授)
昨年とほぼ同数の応募をいただき、このコンクールも定着したのかなと審査委員一同喜びました。
さて、今年のテーマ「家族」へのカメラアイは広角レンズさながらのように、さまざまな角度から覗かれていました。子どもから老人にいたる、それぞれの世代の「絆」をキーワードに映像化されていました。その「家族」への眼は、すべて平和な幸福に満ちた、そして現代の「家族団欒」あるいは「家族の絆」を示す「愛」として表現されたものでした。
素晴らしい一コマ一コマに私達一同感動しました。と同時に、21世紀を迎えた今日という「時代の家族」の「絆」のありようを知らされた思いでした。なによりもそこには、それぞれの「対話」があり、その「会話」が聞こえてくるような写真になっていることが、私達を喜ばせてくれました。だが、少し淋しい、あるいは物足りなさを感じたのも事実です。それは熊谷元一記録写真のモティーフとなっていた「家族」の日常における多面性、たとえば貧しさの中の愛とか、悲しみの中の家族愛とか、家族の中の汗とか、泥だらけの中の絆とかいう、明るさの中の家族だけでなく、平凡で日常的でそして哀しさ淋しさに耐えながら、だからこそ家族で支えあっていくという姿がまったく「不在」でした。幸せな時代とはいえ、楽しいことばかりがある日常ではない、今一歩多面性の中に示される「家族の真実」をカメラに収めて欲しかったというのが審査委員一同の感想でした。