第17回「感動」
第17回(平成26年):[感動]
坂本 宏之
(秋田県美郷町)
「母と娘のひととき」
撮影場所: 秋田県美郷町
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講評
第17回 審査員長 増田今雄(長野県写真連盟)
テーマがやや難しかったのか応募作品は前回より減りましたが、北海道から九州まで全国から643点の力作が寄せられました。
石積み階段の隙間からにょきっと出たタケノコ、富士山を背景に泳ぐ無数の鯉のぼり、餌を求めて群がるコイなど自然の風景の中に被写体を求めたものが目を引きました。その中で、花が満開の樹木を撮影した「老木の華」が上位に食い込みました。
しかし、上位作品のほとんどは人が絡んだ作品が占めました。笑顔や表情、しぐさを通して、直接目に見えない思いやりや愛情、絆など人の持つ「情」が伝わってくる作品が選ばれました。作者が被写体と向かい合い、感じた「感動」がどの位、率直に作品に表現されているかがポイントでした。
中には、写真プリント紙でなく普通の用紙でしたが、アルバムから引っ張り出した小さな頃のショットと成長した今の様子を同じ場所で撮影して比較、2枚組みで構成した「幼子から少年に」は、テーマに向き合う姿勢そのものが評価されました。
「阿智村内撮影部門」は虹と桜をひっかけたものや早朝のハナモモなど偶然や時間をタイミングよく捉えた作品が選ばれました。今回も、ややマンネリ化傾向でしたが、最近注目の全国でも有数の星空や手づくり花火など阿智村ならではの特徴が出る作品にお目にかかれなかったのは残念です。もっと多彩な素材発掘を期待すると同時に、四季折々の中に生きる村民の暮らしや行事、祭りなどにレンズを向けて欲しいと思います。元一先生が残された写真のように“人くさい”作品、変わりゆく今を捉えた「農村記録写真」がもっと多く出てくることを切望します。