阿智村定例議会(令和3年3月5日)村長あいさつ
はじめに
3月になり春の暖かい日差しが感じられるようになりました。ちょうど1年前の3月議会の冒頭で、私は「世界中の大問題となっている新型コロナウィルスについて、長野県でも2名が発症し、当村でも50人以上の行事、集まりはなるべく自粛、又、3月3日から小中学校を春休みまで休校とし、村民が一丸となってご理解頂きこの難局を乗り切りたいと思います」とあいさつさせて頂いています。
あれから1年。コロナの猛威に屈した1年だったと言わざるを得ません。明るい兆しとすれば、世界中でコロナワクチンの接種が始まり、国内においても一部の医療従事者の先行接種が開始されました。村では国、県の指示の基、村民の皆さんの予防接種体制の整備を進めています。今後、国から接種の具体的なスケジュールが示され次第、優先順位に従ってクーポン券の郵送をさせて頂くことになっています。
村民の皆さんには、日常の予防対策等最大限の協力を心がけて頂き、今のところ当村からは感染者が出ていないのは大きな自信と励みです。
コロナ禍で心配されている景気動向ですが、商工会によると飲食店、観光関係は厳しく、宿泊施設は2月の稼働日数は5割で、飲食店も夜の営業は取りやめるなど、1~2月は大きな打撃がありましたが、雇用調整助成金等により、何とかしのいで頂いている状況です。建設業、製造業、農業はコロナの影響を受けたものの経営を大きく左右する事業者は少なく、ネットを活用した営業形態の転換をはかった企業は売り上げを伸ばしたり、スーパーなどの小売店は売り上げ増との報告がありました。
3月からは西南部が連携した商工会のテイクアウト事業、県の観光50%割引キャンペーンに加え、村でも地域クーポンの配布等、追加の支援を展開し、旅館は3月から5月までの予約が少しずつではありますが入っており、景気の上昇に期待したいところです。
さて、第6次の基本構想も4年目を迎え、将来像「阿智家族」の想いの中で、中期計画、単年度計画により、令和3年度の予算の骨格を、地区懇談会、各団体の懇談会等を昨秋から開催させて頂き、2月になってからはコロナの影響で、各地区にはお伺いする事はできませんでしたが、計画審議会を経て、村民の皆さんから意見を頂き、まとまりましたので上程させて頂きたいと思います。
令和3年度重点施策について
第6次基本構想の横断的な施策大綱を確認しますと「定住人口の確保、維持」「人づくり、健康づくり、地域力」「阿智ブランドの確立」「まちづくり計画」の4本の柱で、基本目標、大綱それぞれの仕事の中で、どれにも共通する横断的な事業を展開して参ります。
令和3年度は特に3つの点について力を入れて参ります。
1つ目が「ウィズコロナ、アフターコロナの村づくり」です。
村民の皆さんの命を守るために、ワクチン接種の対応を確実にさせて頂きます。冒頭でも述べましたように進めて参りますが、まだ正確な情報が入ってこない状況であります。村民の皆さんに不安を与えないように、途中経過の様子も随時お伝えしたいと思っています。
生活面におきましては、昨年に引き続き、医療福祉従事者や、学生やお仕事で緊急事態宣言地域への往来の方、成人式関係者等へのPcr、抗原検査補助を行いますし、熱を発症した方が病院等に移動する手段がない場合に、西部3村で専用のタクシーを貸し切り、送迎する事業を行います。
経済面では、コロナで収入が落ちてしまったにもかかわらず、国の制度の持続化給付金(月別売上げ2分の1減)の、対象とならなかった事業者の皆さんを支援して参ります。又、昼神温泉等で宿泊して頂いた方に南信州地域への動態調査クーポン券を、令和2年度分の補正と併せ1,000万円の予算で、発行します。南信州地域の周遊状況も把握でき、当地域の全体の観光戦略にも役立てるものとして、他市町村に連携の呼びかけを行い、現在準備を進めているところです。
又、働きながら休暇をとる過ごし方、ワーケーションや、企業の本社から離れた場所に設置する小規模な事務所、サテライトオフィスを、国の交付金を活用しながら積極的に展開する他、高まりつつあるアウトドア需要の取り込みも注力して参ります。当村はこれらの事業に適した条件を備えており、コロナが逆にチャンスと捉えた事業展開を図って参ります。その他、プレミアム商品券の発行、生活困窮者への支援、ケーブルテレビ等のメディアを通じた、コロナ対策、健康づくりや、村の歴史等の情報発信を行って参ります。
2つ目が「定住人口の確保・維持」です。
これもコロナの影響で、例年に比べ問合せが多くなってきており、さらなる戦略で定住に力を入れていきたい考えです。阿智家族チャンネルの動画シリーズも13本となり、再生回数は6万回を超え、チャンネル登録者も増え、多くの方に阿智村のPRをさせて頂いています。計画的な住宅計画、充実した補助制度も多く揃えてありますので、しっかり取り組んで参ります。
3つ目が「まちづくり計画」です。
パブリックコメント等を通じ、村民の皆さんから意見を頂きながら昨年10月に、リニア中央新幹線開業後の昼神温泉の姿を描く「昼神温泉リニア新時代構想」を策定しました。多くの方からの意見を踏まえ、リニア駅、或いは周辺観光地や村内各地とのアクセスの確保、歩いて楽しめる賑わいや魅力の創出、環境や防災の配慮など、世界に誇れる温泉地を創造し、観光客はもとより、村民の皆さんにも広く親しんで頂ける環境を整えていく内容となっています。これをたたき台として、コロナで遅れましたが、関係者に参加頂く形で、「昼神温泉リニア新時代戦略等推進委員会」を2月25日に立ち上げましたので、今後実現に向けた具体案を、詰めてまいる所存です。
又、わいWai公園周辺整備計画も進めています。村では「運動公園周辺整備検討委員会」による昨年3月の答申を基に、現在基本設計を行っているところであり、今後さらに議会や村民の皆さんにご意見をお聞きし、詳細を詰めて参りたいと存じますのでよろしくお願いいたします。
この後、各項目につきまして説明させて頂きますが、総予算52億8千5百万円を計上させて頂きます。
「くらし・いきがい・協働」
定住関係では、阿智家族チャンネルの他、昨年からの事業で実績が1件ありましたが、民間会社や個人の方が、賃貸住宅を建設した場合、建設費用に補助金を支援する事業のPRを積極的に展開致します。又、来年度は中関地区に分譲住宅地を4区画造成予定であります。
協働の村づくりの点では、男女共同参画基本計画の策定に取組みます。男性も女性も意欲に応じて、あらゆる分野で活躍できる社会をめざして実践できる村としての計画作りを行います。そして、昨年コロナ禍で勉強会のみしかできなかった、熊谷元一先生の生誕110年のシンポジウムを予定し、先生の農村記録写真の功績を、村民の皆さんにも再認識して頂けるよう取り組みます
くらしの中で昨年から始まっているコンビニ交付、納付ですが、交付についてはマイナンバーカードが必要であります。現在のカードの交付率は15.5%であり、国でもマイナポイントの交付促進や、当村では住民票、印鑑証明等が全国のコンビニで交付できます。又、税金等の納付の件では現在コンビニで納税が可能であり、年間で約25.0%の方がご利用くださり、いづれも便利だとの声も頂いていますので、月間増強キャンペーンなど行いPRをしっかりして参ります。
主な事業と予算は
・定住促進広告宣伝事業 203万円
・定住促進のための住宅新増改築等支援金 1,500万円
・分譲住宅地造成事業 3,356万円
・自治会活動支援金 2,173万円
・男女共同参画基本計画策定 326万円
・CATV運営事業 5,230万円
・浪合フォーラム改修 4,400万円
・村長選挙、衆参議院の議員選挙 2,890万円
「教育・文化・地域愛」
子供達が阿智村を愛し、進学や就職で離れることがあっても、いつかはふるさとに帰って来てくれる為、教育は大切であります。地域で育む子育て支援は妊産婦から始まり、乳幼児から高校まで医療、教育多岐に渡って支援して参ります。
充実した教育環境の整備、小学校高学年の放課後学習教室から若駒アカデミィまでの継続的学習支援、子育て支援室による放課後子供教室の開設、第3小学校に、下伊那西部地区初の通級指導教室のサテライト教室を設置します。又、全小中学校に、村費の特別支援教育支援員を配置したり、英語教育専門員の配置により、保育園から取り組む外国語教育の充実等、きめ細やかな教育環境をめざします。
そして、今年度も引き続き、ふるさと学習をカリキュラム化して地域を愛し、自然や歴史、地域資源を体験する教育を目指します。わたしたちの阿智村第3部「自然編」の編集に取り掛かって参りますし、古い巨木も多くあり、西部3村で協力して経済活動と合わせ多くの方に知ってもらうよう工夫します。
子育て支援では、産後のケアも重要と考え、産後1年までの母子を対象に、一定期間医療機関や助産所に宿泊して、保健指導を受ける制度を導入しています。インフルエンザワクチン接種補助も、村外の医療機関でも補助対象としています。
主な事業と予算は
・妊産婦・乳幼児健診事業 662万円
・高校生世代までの医療費支援 1,785万円
・地域子育て支援拠点事業 2,727万円
・第1小学校体育館屋根等改修工事 1,971万円
・英語教育専門員の配置及び英語教育の拡充 1,499万円
・全小中学校村費特別支援教育支援員配置 1,189万円
・わたしたちの阿智村「自然編」編集 15万円
「福祉・健康・医療」
健康で小さい子供からお年寄りが生きがいを持ち、幸せに暮らすことが何よりも大切です。当村ではあち健康プラン21に沿って、年代別の健康増進、トリプルAサポート事業、特定健診の充実により、村民の健康づくりに邁進しています。コロナの影響で令和3年度が策定の年となりますので、その評価と新計画の作成をして参ります。
この3月に策定された第8期の新たな介護保険計画に基づき、介護サービス事業の推進を展開して参りますし、認知症対策にもさらに力を入れ、サポーターの養成講座や、見守りネットワークの構築、認知症カフェの支援など行っていきます。新規では、デイサービスセンター第二幸寿苑の改修工事を行います。
又、冒頭申しましたように、コロナ対策の臨時福祉給付金事業として、生活支援を目的とした福祉商品券の給付事業を、令和2年度予算の繰り越し事業として実施します。
主な事業と予算は
・診療所の運営 4,730万円
・地域包括支援センター事業 5,924万円
・養護老人ホーム入所措置事業 2,370万円
・デイサービスセンター第二幸寿苑改修 3,150万円
・各種健診事業等の実施 1,750万円
・予防接種事業 1,723万円
「産業振興・雇用創出」
阿智村には、年間120万人もの観光客が訪れます。これは阿智村にとって大きなアドバンテージであり、観光を基軸に、商工業、農業など他産業が効果的にかみ合う仕組みづくりを進め、相乗効果による経済の活性化に繋げていく他、地方移住の需要が高まる中、阿智村に対する認知度や交流人口をさらに増大させることで、いずれは定住に繋がる取り組みを進めて参ります。
予算案では先に述べたコロナ対策以外の他、商工関連事業として、制度資金の利子の補給や、住宅リフォームなどの消費活性化事業に加え、企業人材確保の広告料の補助等実施して参ります。
農業関係では、圃場の環境改善のための耕盤破砕機の購入や、農業収入全般の減収に対応できる「収入保険」制度加入のための支援を制度化しました。
林業関係では、いよいよ本格的となってくる森林経営管理制度に基づく意向調査を継続して行いながら森林環境税や、長野県森林づくり県民税を財源に、生活に密着した森林環境の整備を積極的に進めてまいります。
そして観光では、コロナで遅れていた空き店舗を活用した飲食兼情報発信拠点の運営の他、治部坂高原の旧トヨタ健保保養施設を活用した宿泊事業の立ち上げを行います。又、既に阿智村の貴重な観光資源である花桃まつりについては、今年度から村の事業として位置づけ、将来に渡って安定的に運営できる体制を整えたところですが、昨年のまつりは残念ながら中止という判断に至りました。今年は厳しい状況にある地域経済の下支えのためにも、コロナ対策を徹底しながら是非とも開催して参りたいと存じます。
主な事業と予算は
・新型コロナウィルス感染症緊急経済対策 11,147万円
(コロナ対策持続化応援給付金 1,220万円)
(コロナ対策プレミアム商品券事業 2,075万円)
(コロナ対策ワーケーション推進事業 1,902万円)
・観光事業の補助金 12,000万円
・スタービレッジ事業 3,100万円
・昼・神温泉新時代推進事業 550万円
・花桃まつり・花桃管理事業 1,308万円
・治部坂高原宿泊事業立ち上げ 750万円
・産業振興公社助成金 2,608万円
・耕盤破砕機の購入 100万円
・森林整備事業 5,970万円
・有害鳥獣対策事業 1,729万円
・商工業者経営支援、振興事業 1,240万円
「環境・防災・安心」
私達が安心して暮らすために、大変重要な位置づけであり、近年頻繁に起こっている災害に対する自助共助の防災の意識を高めます。昨年、村のハザードマップを全戸に配布させて頂きましたので、各地域での学習を含め自主防災の意識付けを専門の職員を配置していますので、徹底したいと思います。
又、環境面では近年の異常気象等により、地球の温暖化が叫ばれていることから、二酸化炭素排出量の抑制等を推進するため、役場の地球温暖化対策実行計画を策定致します。燃やすごみの削減や観光地にふさわしい美しい村づくりの意識付けをして参りたいと思います。
道路等の整備では、緊急を要するものや、各地域から要望の出ているものから個別施設計画に基づき、整備して参りたいと思っています。交通安全対策では、特に高齢者のために、後付け自動車急発進等抑制装置設置補助事業を新設します。
主な事業と予算は
・上水道老朽管敷設替え工事(駒場地区) 4,500万円
・村道林道の整備 7,400万円
・インフラ長寿命化 14,390万円
・後付け自動車急発進等抑制装置設置補助 30万円
・防災行政無線操作卓更新 3,454万円
・村内巡回、乗り合いタクシーの運行 3,852万円
・コロナ検査費用助成事業 490万円
以上、令和3年度の主な事業です。新型コロナウィルス対策の事業が中心とならざるを得ませんが、一日でも早く収束を願い、その日が来るまでウィズコロナの対応をして参る事に重きを置いた予算となっています。世界中が危機の中で、「阿智家族」の精神で、住民が助け合い協力し合って乗り越えていきたいと願っています。
(議会審議)
本議会でご審議いただく案件は、承認案件1件、条例案件3件、事件案件4件、予算案件7件他であります。
承認第1号は、専決第1号で令和2年度阿智村一般会計補正予算第8号について承認をお願いするものです。既定の歳入歳出予算総額に35,402千円を追加し、歳入歳出予算総額を7,433,753千円とするもので、参議院議員の補欠選挙費と新型コロナウィルスワクチン接種対策費による補正であります。
条例案件他につきましては、上程の都度説明させて頂きます。
予算案件は、令和3年度阿智村一般会計、各特別会計及び水道事業会計予算の議決をいただくものです。一般会計予算は、歳入歳出予算総額5,285,000千円と、昨年度当初予算5,930,000千円と比較し、645,000千円の減であります。
歳入については、村税で前年度より132,219千円減の591,735千円、地方交付税は前年度より153,000千円増の2,500,000千円を見込んでいます。
基金繰り入れは、財源の不足分に充当するため財政調整基金から358,000千円、防災あふち保育園の改修等にふるさとづくり基金から10,600千円、デイサービスセンター第二幸寿苑改修、学校体育館改修等に公共施設整備基金から71,000千円、森林整備に森林環境譲与税基金から、21,250千円、宅地造成に土地開発基金から33,560千円など、前年度より85,509千円の減となり、繰り入れ総額は508,809千円となります。歳出については、先ほど主な事業について申し上げましたので、内容については「事業等計画書」を参考にしていただきたいと思います。
次に特別会計ですが、
阿智村国民健康保険事業特別会計は、事業勘定で歳入歳出総額496,000千円、直営診療所勘定で歳入歳出総額47,600千円、
阿智村下水道事業特別会計は、歳入歳出総額283,500千円、
阿智村介護保険特別会計予算は、歳入歳出総額832,600千円、
阿智村農業集落排水事業特別会計は、歳入歳出総額74,500千円、
阿智村後期高齢者医療特別会計は、歳入歳出総額78,700千円、
阿智村水道事業会計は、収入総額294,354千円です。
この他、令和2年度各会計の補正予算等について追加日程でご審議いただくことになります。
以上、それぞれの議案について申し上げました。上程の都度詳しくご説明いたしますのでよろしくご審議賜りますようお願いいたします。