阿智村定例議会(令和2年12月7日)村長あいさつ
はじめに
12月に入り朝夕は厳しい寒さの中、日中は比較的暖かい日が続いていますが、師走の大変忙しい時期となりました。議員の皆様にとっては改選後初の定例議会ということでこれからの4年間、村の発展のため、村民の幸せのため、行政と議会が車の両輪のごとく前に進んでいけるようよろしくお願い申し上げます。
さて、第3波の新型コロナウィルス感染が全国的に猛威の中で、長野県においては警戒レベル3であり、現在803人の感染者が出ています。幸いにも阿智村からはなんとか感染者は出ていませんが、これは、これまで村民の皆様が万全の感染対策にご協力を頂いた成果だと思います。又、9月から11月にかけ、当村では伝統的な駅伝大会や、阿智祭、商工祭、農協祭など毎週のように行事やイベントが開催されるところでしたが、中止や縮小をせざるを得ない状況でありました。会議や買物などに行く時もマスク、手指の消毒など徹底をして頂きました。
観光は国のGoToキャンペーンの効果もあり、夏以降回復、今では昼神温泉や星空ナイトツアーは連日賑わい、飲食店にもその効果が表れつつあります。修学旅行生も特に県内の学校がこぞって、満蒙開拓平和記念館や星空観察に訪れ、宿泊は昼神温泉をご利用頂く形で、10、11月で50校程の訪問がありました。しかし、いつ熱などの症状を発症する方があるとも限りません。そこで、阿智昼神観光局では、県内に先駆けて、コロナ対策の「阿智☆昼神クリーン&セーフ認証」を制度化し、各観光施設の責任者が相互にチェックするしくみにより、感染対策の徹底と継続性を確保して参ります。
又、村では第5弾のコロナ経済対策事業で、10月からコロナ感染症対策機器購入補助制度を作り、現在まで8件95万円、事業所の方に利用して頂いている他、第6弾では、一人暮らしのお年寄りや観光客も多く、インフルエンザの同時流行に備え、平谷、根羽、西部3村で連携し、村民や観光客にコロナの類似症状が出た場合に、自前の移動手段のないケースで、タクシーにより医療機関等に移動してもらうという事業を開始しました。アップルキャブと連携し、感染対策を特化したタクシー1台を借り切り、運行するものですが、こちらも県下初の取組となっております。そのような中、1週間ほど前に、村内で熱があるとわかった方が、利用されました。幸いにも検査の結果、陰性でありましたので事なきを得ましたが、このような事例も早速ありました。これら事業を通じて、安心して移動、そして村民が安心して生活できる体制を整えさせて頂いています。
令和3年度に向けて、引き続きコロナ禍の中でも村民が安心して暮らせる事を基本に、一日も早く新薬の開発を願い、アフターコロナの新しい生活様式のあり方を模索しながら、地区懇談会や各種団体、住民の意見をしっかり聞き、事業計画、予算に反映させていきたいと考えています。
(村の状況)
さて、阿智村ではこの3か月の間に様々な出来事がありました。
主なものをいくつか述べさせて頂きます。
まず、コロナ禍における村内の景気動向についてですが、11月25日に新型コロナウィルス緊急経済対策本部会議を開催させて頂き、各団体からの意見を聞いたところ、農業関係は、7月の豪雨の影響やその後の急な暑さにより、果樹関係ではりんごのツルワレの発生が見られたものの、8月以降は天気もよく米・野菜ともにほぼ順調に収穫でき、例年並みの売上げが期待できるとの事。食料品スーパーなどの小売業は自宅での食事が増えた為、売上げは年間通して10~20%増でした。製造業は、9月頃から全国で自家用自動車の売れ行きが好調で、部品の受注が多く、一時期のコロナの低迷は脱しているようです。商工業者の皆さんは、国や村の持続化給付金等や雇用調整助成金等の効果で、4月~7月の危機は何とか脱することができ、以降は回復傾向にあるようです。
とりわけ影響の大きかった観光関係は、村の旅館業、飲食業等、12月中旬まで多くの予約が入っている状況で秋以降は盛況のようです。しかし、コロナ第3波により、地元企業や、団体、プライベートでの忘年会新年会の予約が減っており、年末以降の状況は引き続き注視が必要と考えています。
役場庁舎の関係では、これからも職員の日常業務の中で密を避けるため、コミュニティ館1階全体も事務所とさせて頂きます。又、中央公民館東側駐車場を拡張整備させて頂き、今まで大きな会議やイベント等に駐車場不足でしたので、解消する事ができました。是非多くの村民の皆さんにご利用頂きたいと思います。
民生関係では、11月27日に高齢者福祉審議会を開催し、令和3年度から3年間の、第8期介護保険計画案策定の議論が始まりました。高齢者がいきいきと健康ですごせるために、そして介護保険事業にかかわる保険給付が円滑に行われ、又これからの皆さんが介護状態にならないように、効果的に実施されるように介護保険計画を定めていきたいものです。介護予防、健康づくり、認知症施策、高齢者を地域で支えるしくみなど、委員の皆様から意見を頂きました。3月をめどに、答申頂く予定になっています。
林業関係では、いよいよ森林経営管理制度の意向調査が始まります。まずは、初年度対象地域として選定した伍和、春日、清内路の120名(96.41ha)の所有者の方に12月中旬調査表を発送し、自分の持っている山の管理状況や、将来管理をどうしたいかなどの意向調査をさせて頂きます。調査は村内を15年間かけて行いながら、順次整備を進めていくわけですが、南信州地域では他の市町村に先がけて行う事業となります。里山の整備、環境のバランスの取れた美しいふるさと作りのために、しっかり取り組んでいくつもりですのでよろしくお願いいたします。
今年は村政功労者表彰を11月14日、阿智祭の初日に開催させて頂きました。本来ならば多くのご来賓をお迎えしての開催予定でしたが、コロナ対策で議員の皆様と自治会長の皆様のみとさせて頂き、永く村のために様々な団体等で役職を務められご功績のあった皆様や、スポーツ文化等で全国大会に出場された皆様、11名の方に村より表彰させて頂きました。
同日、第23回の熊谷元一写真賞コンクールの表彰式を開催しました。テーマは「令和のこども」で、今年も全国から前回を上回る787点の応募がありました。全国規模の大きなコンクールとなりましたので、年々レベルが上がり、力作が揃い、大賞に香川県の宮本安紀子さんの作品が選ばれました。来年のテーマは「ふれあい」に決まりました。是非とも来年も多くの方に応募頂きたいと思っています。今年は以前からご案内の通り、熊谷元一さんの生誕110周年の年です。県の元気づくり支援金を活用して、3回にわたる学習会の開催を行い、元一さんの村に残してくれた記録写真や童画を基に、阿智村がこれからも大切に残していくべきもの、想いを勉強できました。シンポジウムはコロナで残念ながら中止となってしまいましたが、今後も学習会を開催予定です。
若者の育成という観点から事業を始めましたのでご報告致します。当村、下条村、松川町が連携し、11月12日に職員向け、14日に住民向けの、地域づくりを主眼においた「3町村合同人財育成事業」が始まり、月に一回のペースで、地域の課題解決、マーケティング、地域振興策などを、まずは3月まで学習致します。会場は持ち回りで、当村からも計12名の若者が参加し、全体で30名程が将来に向けて勉強していきますのでその成果が楽しみであります。
例年、5月3日に開催していました成人式ですが、コロナ禍のために来年1月9日に延期をさせて頂いていました。成人者で作る実行委員の皆さんが、コロナ禍の中でも、対策を取りながら、全国で活躍する旧友たちとの再会を実現するために、様々な工夫をしながら準備してきてくれました。村では、安心して成人式に出席頂くため、そして帰省しようとする学生等のために、抗原検査等を受けた方に、補助をしようと考えています。今後議会の皆様に、補正予算、要綱等含め審議頂く予定となっていますので、よろしくお願いいたします。
ふるさとを離れた学生支援の第2弾として、阿智の風景が印刷された箱に入ったマスク、地場産品の食品、米等を申請頂いた皆さんに送らせて頂きました。現在約90名の皆さんの所に届き、多くの皆さんから感謝の声を頂いています。又、阿智家族チャンネルの動画も、新しく二家族が追加され、阿智に暮らすようになったきっかけ、阿智での生活、将来の夢などを語って頂きました。ふるさとを離れた学生や、働いている方、そして阿智で暮らす私達が、この動画を見て、何かを感じ、夢を持ち、いつかはどんな形でもいいので阿智を活性化し、守っていってくれることを期待したいと思います。
観光関係では、この10月に「昼神温泉リニア新時代将来構想」を策定し、10月~11月にかけて、村民や観光関係者の皆様に対する説明会を開催して参りました。構想では、リニア新時代に目的地として「世界から選ばれるHIRUGAMI ONSEN」をスローガンに、5つの戦略と4つの視点により今後の具体策を展開することとしております。リニア開業というタイムリミットを見据えた温泉郷づくりのため、まずはこれを実現するための推進委員会を速やかに立ち上げて参ります。
又、9月には構想で掲げる5つの戦略のうちのひとつ「前衛的なデータ活用」を推進する先行事業として、昨年度事業で実施した観光動態調査の報告会を開催したところです。この調査は阿智を訪れた約5,300人のGPSデータを活用し、発地や旅程、宿泊他、滞在時間、流入時間帯、周遊状況等のマーケティング調査を行いました。このような観光客のデータ分析を行ったのは初めての試みであり、リニア新時代構想の実現に向けた今後の施策の立案に有効に活用して参ります。
(議会案件について)
本定例会においてご審議頂く案件について申し上げます。
案件は、人事案件2件、条例案件3件、契約案件1件、予算案件5件であります。
人事案件は、教育委員会委員の選任についてと、固定資産評価審査委員の内1名が任期満了になりますので、選任について同意を求めるものであります。
条例案件のうち、
「阿智村議会議員及び阿智村長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例」は、国の法律改正に準じて、選挙運動用自動車やポスター等の選挙運動の公費負担に関する条例を制定するものです。
「阿智村国民健康保険条例の一部を改正する条例」の制定は、条番号の間違いのため、関連条文の改正です。
「阿智村国民健康保険税条例の一部を改正する条例」の制定は、令和3年1月1日施行の個人所得税の見直しにおいて、給与所得控除等から基礎控除へ、10万円が振替られますので、軽減判定で不利益とならないため、関係条文を改正するものです。
契約案件は
「令和元年度阿智村昼神浄化センター管理汚泥棟・水処理棟の再構築等工事委託に関する協定の変更について」は3,755万円の減額契約の議決をお願いするものです。
予算案件は
令和2年度阿智村一般会計補正予算第7号は、既定の歳入歳出予算総額に、それぞれ12,803千円を追加して歳入歳出予算総額をそれぞれ 7,398,351千円とするものです。
歳出の主なものは、
・庁舎水道管改修工事 2,200千円
・新型コロナウィルス検査費用助成金 2,500千円
・定住住宅新増改築等支援金追加 7,000千円
・広域入所保育委託料追加 1,700千円
・保健センター内エアコン修理等 1,010千円
・阿智開発公社補助金 20,000千円
・温泉給湯施設修繕工事 2,217千円
・道路改良設計委託費 2,000千円
・橋梁改良設計委託費 3,000千円
・村営住宅修繕料 1,300千円
・矢平線災害復旧工事 6,000千円
特別会計等補正予算4件は、それぞれ必要な追加等を行うものであります。
以上がご審議いただく案件であります。上程の都度詳しく説明致しますのでよろしくご審議を頂きますようお願い致します。
(おわりに)
令和2年もあと4週間程です。昨年の今頃は、新しい年を迎える準備で大忙しで、まさか数か月後に新型コロナウィルスの猛威により、世界中が大パニックになるなんて、そして国民が楽しみにしていた東京オリンピックが延期になる事など誰が予測できたでしょう。
明日は恒例の中学3年生との懇談会が予定されています。今年は学校生活でもとりわけ最終学年を迎える小学6年生や、中学・高校3年生など、子供たちにとっては一生の思い出となるはずの、学校行事が一部中止になったり、修学旅行は形を変えての実施となりました。又、就職活動に大変な苦労をしているという情報も聞こえてきます。コロナ禍での辛い経験が子供たちにとって、今後の人生の糧となり、どんな逆行にも負けずに、大きく成長してもらいたいと願うばかりです。明日の3年生との懇談会も、コロナ禍をふまえた中での、純粋な子供の目線で、新しい阿智村の活性化の提案がされるでしょうから、大いに期待したいと思います。ケーブルテレビで放映予定ですので、是非多くの村民の皆さんもご覧頂きたいと思います。
以上、本会議に上程いたします議案等について申し上げました。みなさんと共にコロナ禍の収束と、夢のある阿智村に向かって一緒になっていい村作りにまい進していきますよう、ご協力をお願いしてあいさつとさせて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。