阿智村定例議会(令和2年6月4日)村長あいさつ
はじめに
阿智村では田植えや野菜の植え付けもほとんどの皆さんが終えられ、一息ついたこの6月上旬だと思います。
小中学校の皆さんも先週25日から通常通りの学校生活となり、6月1日からは昼神温泉も営業再開し、活力ある日常に戻りつつある今日です。人類の歴史の中でも、未曾有の出来事、新型コロナウィルス感染症の発症は、私達の生活に、村の全ての事業に大きな影響を及ぼしました。年度末、新年度が始まったこの約3か月はコロナ対応一色でした。まずは確認の意味で振り返らさせて頂きます。
(村の状況)
本日現在、新型コロナウィルスの感染者は全国で17,694人、長野県では76人であり、現在も感染者は一時よりも衰えましたが少人数で増え続けていますし、第2波が心配の毎日です。国の緊急事態宣言は解かれましたが、日本中が一丸となって終息に向かって取り組んでいるところです。
村では3月2日に第1回目の経済対策会議を行い、特に観光サービス業の皆さんの状況を聞き取り、23日からは村民限定の昼神温泉謝恩キャンペーンの実施により経済対策事業を行いました。又、教育関係では3月3日から小中学校の臨時休校に踏み切り、卒業式や受験、恩師友人との別れなど子供達には大変つらい思いの中で年度末を迎えました。
3月末にかけ飯田保健所管内でも感染者が発症し、4月8日には阿智村新型コロナウィルス感染症対策本部を設置しました。国や県の方針に従い、感染予防の対策を取りながら、村では、県下でもいち早く4月10日に感染阻止宣言を出させて頂き、村民の皆様には、三密を避ける行動、マスクや手洗い、県をまたいだ移動、往来を極力控えて頂くこと、そして観光業のみなさん(宿泊施設、レジャー施設、展示施設等)に営業の自粛をお願い致しました。
多くの事業者の皆様に宣言の趣旨をご理解頂き、断腸の想いであったと思いますが、長期に亘ってお休み頂き、今のところ村からは感染者が出ていない状況に、心から感謝致したいと思います。
村としては、この難局を乗り越えるために国や県の制度と併せて、5月1日に臨時議会をお願いし、国の持続化給付金に村独自の上乗せ給付として、中小企業に25万円、個人事業主に15万円、さらに飲食業の方には25万円を加算する事とした他、村の要請により休業協力頂いた観光事業者の皆様には、それぞれの売上実績に応じた算式による、休業協力給付金を給付することと致しました。その他、借入利子補給、誘客対策、温泉使用料の減免、税制の猶予なども実施しております。
昨日までに、休業協力給付金は21件、国の持続化給付金の上乗せは商工会が窓口で対応頂いており、44件の申請がありました。融資の相談件数は延べ132件、申し込みは39件と、事業者の皆さんはかつてない苦しい状況であります。5月13日の5回目の経済対策会議の中では、畜産農家や花卉農家の皆さんも苦慮している現状を聞き、子牛の仕入れに対する助成や花を村で買い取り、福祉施設等へ配布する補正予算を専決したところです。
今後、必要な経済対策を検討して参りますが、村内産牛肉消費のための施策や、住民の皆様に向けたプレミアム商品券を只今計画中です。商工会と協力し7月には実施したいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
6月1日からは昼神温泉の旅館も多くが営業再開し、県民キャンペーンとして展開する5,000円の助成事業も、昨日までに4,320人の申し込みがあり、予想を超える反響を頂いております。県内広範囲からお客様の予約が多く、昼神温泉のブランド力向上にもプラスとなりました。今後も状況に応じて、適時適切な支援策を講じて参りますので、歯をくいしばって頑張っている経済界の皆さんには何とかふんばって頂き、一日でも早いコロナの終息と、賑やかで活気のある阿智村が再現できるよう期待するところです。
そして、個人・世帯向けに、全国すべての方に10万円が給付される「特別定額給付金」は、当村では5月1日から先行の受付、その他の方には郵送により5月25日に申請用紙を発送させて頂き、早い方で5月18日には給付をさせて頂きました。本日現在で2,003世帯、全世帯の約85%の方に申請頂きました。まだ提出頂いてない方には、今一度確認頂き、わからない点はお気軽に役場までご相談頂きたいと思います。
又、教育関係では、冒頭でも述べましたように5月25日から小中学校、通常の授業が始まりました。それまで、飯田下伊那の中ではいち早く先生方のご協力を経て、4月16日から児童生徒の学習状況、心のケア等も考え、ケーブルテレビ等で授業動画を配信して対応して参りました。保育園も5月からは希望登園というスタイルで、ご家庭の協力を頂きながら対応して参りました。子供たちの元気な明るい声が村内に響くことが、村の皆さんにも元気が出て、活力が生まれる様子を実感しました。公民館や運動施設、図書館の使用時間の制限や名前のチェック体制も取らせて頂き、6月1日からは感染対応策を取りながら利用頂いています。
ふるさとを離れた、このコロナで地元に帰って来る事ができない大学生の皆さんにも村として、5月7日より米5キロやマスク、メッセージのプレゼントをさせて頂いています。昨日までで81名の学生から申し込みを頂き、発送させて頂きました。この企画は大変喜ばれ、本人はもちろん、家族の皆さんからも御礼を頂きました。5月15日にはオンラインで、全国に散らばる学生5名と対談をさせて頂き、痛切に感じたのは、就職を間近に控えた学生が、景気低迷や密の影響で、思うように就職活動ができない苦しさでした。大変な世の中ですが、一生を左右する就職活動が悔いなくできるように、我々は様々な工夫により体制を整えてあげなくてはならないと感じました。
又、医療、福祉施設の現場でも、緊迫した中で、しっかりとした体制を取りながら対応させて頂きました。診療所では熱がある方の車内での検温、職員の防護シールドや服の徹底、社会福祉施設でも社協の皆様を中心に、検温の徹底など細部にわたって対応させて頂きました。保健師と包括支援センターでは、各戸への家庭訪問に力を入れた他、家にいる中で、心と身体の健康のために、健康テレビを作成し、5月27日から番組を放映しています。週ごとタイムリーな話題、健康法を配信していますので、是非多くの皆さんにご覧いただきたいと思います。
庁舎内も5月11日から、密を避けるためにコミュニティー館に職員が一部移動して業務を行っています。窓口にも透明アクリルパネルを設置して、飛沫感染を防ぐ工夫も致しました。又、本日現在9の個人団体から、マスクや消毒液等のご寄附を頂き、それぞれ福祉施設を中心に有効に利用させて頂いています。村のホームページで報告させて頂いていますのでよろしくお願いいたします。この場を借りて、御礼申し上げます。ありがとうございました。以上、新型コロナ関連についての報告でした。
今年度の事業計画予算の中で、教育関係ではこれから阿智中学校体育館の横にトイレの建設が始まり、秋には完成予定でありますし、阿智第2小の昇降口棟の改修、第3小の校舎修繕、智里東公民館の旧診療所の改修工事がこれから始まります。役場横の駐車場整備も準備が整い、7月から工事が始まり、住民の方にご不便をかけないような規模となる予定です。又、宮崎邸跡地も大杉の剪定が終了し、造成も終わり、これから芝を貼る事で第1期目工事が終了します。住民の憩いの場として、活用頂きたいと思います。
さて、6月2日に国民健康保険運営協議会が開かれ、令和2年度の国保税率改定等について協議されました。国保は2年前から県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等、国保運営に中心的な役割を担って、制度を安定化させる取り組みが始まりました。村は住民との身近な関係の中で資格管理ときめ細かな保健事業を担うほか、国保事業費に要する納付金として保険税を県へ納付することになりました。その保険税率の決定にあたっては県が示す標準的な保険料率を参考に市町村が決定することになっていますが、国は将来的に同一都道府県内においては保険料水準を統一することを目指しています。現在本村では税率を調整して、数年をかけてそこに近づけて行く方針を運協で確認いただいています。
今回村が国保運協に諮問し、答申を受けた令和2年度の国保税率は、新型コロナの影響も考え、前年度と同じ税率との答申を頂きました。今後の厳しい見通しの中で可能な限りの補填措置を講じた上での答申と考えております。
農業は幸いにも新型コロナの影響は、一部の畜産、花卉農家を除いて、今のところありませんでした。しかし、毎年5月末に産業振興公社の定期総会を開催していましたがコロナの影響で、総会も6月19日となり、売上げの速報や、JAさんによると、昨年度は凍霜害、夏場前半の冷夏、台風被害、CSF(豚コレラ)などにより、農家の皆さんは、質・量ともに低下し厳しかったと報告を受けています。
今回のコロナ禍で、自給自足という意味において、農業の強さ、尊さを感じたわけですが、はなもも祭りが中止となったことも受け、急遽、5月1日から阿智家族マルシェとして産業振興公社前にコロナ感染対策をしながら直売所を開設し、阿智の野菜を村のみなさんに、しっかり味わって頂きました。大変好評でありました。
自治会活動、公民館、各団体も新型コロナの影響で、全ての事業が自粛をせざるを得ませんでした。新しい役員さんのもと、引き継ぎや、総会等もできない状態が続いていますが、徐々にコロナ感染対策への配慮により活動を再開して頂き、各地域が以前に増して活性化するよう望みたいと思います。
(上程議案)
今議会でご審議いただく案件は、承認案件1件、人事案件14件、財産取得案件3件、予算案件2件、報告案件2件であります。
承認案件は、専決処分を頂いたコロナウィルス経済対策第3弾の農業対策としての補正、そして人事案件については任期を迎えます農業委員会委員の任命についてです。
条例案件の中で、阿智村税条例の一部を改正する条例は、軽自動車税の環境性能割の非課税に関するものや、新型コロナウィルス感染症等に係る固定資産税の減免等についてであります。他、資金積立基金や国民健康保険、後期高齢者医療、消防団に関する条例の改正についてです。
予算案件ですが、令和2年度阿智村一般会計補正予算第3号は、既定の歳入歳出予算総額に歳入歳出それぞれ26,248千円を追加し、歳入歳出予算総額を6,818,819千円とするものであります。
歳出の主なものは、
マスクなどコロナ感染症対策用品に5,250千円、有機活用農業振興費に3,000千円、公団造林事業委託料に9,980千円などをお願いするものであります。
報告案件につきましては、令和元年度より令和2年度へ繰り越した事業に係る明細を報告するものです。
又、追加日程として、二酸化炭素排出抑制対策工事請負契約の締結についてお願いするものでございます。
以上本議会においてご審議いただく案件について説明いたしましたが、詳細は上程のつど詳しくご説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願いいたします。
(おわりに)
4月上旬に阿智村文化財マップが完成致しました。文化財委員の皆さんによる編集ですが、改めて確認させてもらうとまだ実物を見たことがないもの、歴史を知らなかったものなど、数多くあることに気がついた方も多かったのではないかと思います。阿智村には国の指定文化財が2、県の指定文化財が5、村の指定文化財が68あります。この程、新型コロナウィルスにより外出ができない中、公民館主催で是非多くの村民の方にケーブルテレビで知って頂こうと、6月8日から詳しい解説の放映をさせて頂く予定です。歴史の積み重ねが今の阿智村でありますし、新しい未来に向かって夢を馳せる時、歴史を知っていることは大変重要だと感じています。是非、多くの方にケーブルテレビをご覧頂き、マップは公民館にございますので、お気軽にお問合せ頂きたいと思います。
最後になりますが、この3ヶ月は新型コロナウィルスによって、ほぼ全てが経験のない毎日でした。例年なら、はなももが咲いて大勢の人に阿智を訪れて頂いたり、成人式があり、消防のポンプ操法大会や中体連があり、夏まつりに向けた準備、そして各地区でお祭りや行事があり、一年中でも活気ある時期でありました。しかし、今回の出来事は、私たちに命の尊さ、生き方を考えさせられました。そして私自身も決断を下す事、タイミング、情報収集、村民の皆さんへのメッセージ方法など、自問自答の日々でありました。
もちろん、まだ新型コロナウィルスは完全に終息したわけではありません。もう少し苦しい日々が続きますが、県の方針、ロードマップに従って、我々が一丸となって感染防止に取り組み、新薬が開発され、いつか終息の日が来るまで村民の皆さんのご協力をお願いしたいと思います。阿智家族の想いで、この難局を乗り切りましょう。
以上、6月定例議会の私からのあいさつとさせて頂きます。