阿智村定例議会(平成30年3月6日)村長あいさつ
はじめに
今年の冬は大変寒い毎日でしたが、3月になり、駒場や昼神温泉を中心にひなまつり街道事業も始まり、卒業のシーズン、春の足音が一歩ずつ近づく季節となりました。又、日本中が盛り上がった冬季オリンピックも終わり寂しさを感じますが、9日からはいよいよ伍和の吉川守さんが出場するパラリンピックが始まります。私も応援に行って参りますので、是非村民の皆さんもメダルを期待して声援をお願いしたいと思います。
さて、私が2期目を迎え、本日が初めての議会定例会となります。牛山副村長を迎え、新しい体制で今後皆様にはお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。2期目に入っても終始一貫、住民の目線に立った村政を心がけたいと思っています。子供の目線で、お年寄りの目線で、様々な立場から意見を聞き、皆で助け合い、励ましあい、4月から始まる第6次の基本構想、将来像「阿智家族」の想いで、心温まる、すがすがしい村づくりを進めて参りたいと思っています。
カーリングで銅メダルを取った北見市常呂町の吉田選手が「この街は何もないけれど、この街にいたからこそ夢が叶った」とコメントがありました。この阿智村で夢をおおいに抱く子供達を育てることが、私たちの役目だと思っています。
阿智村第6次総合計画について
さて、2月には村政懇談会で村民の皆さんから貴重なご意見を頂戴しながらこれから始まる第6次総合計画の最終まとめ、平成30年度の方向性を示させて頂きました。
第6次総合計画では、基本構想に「暮らす、生きる。阿智家族」~住民一人ひとりの人生の質を高められる、持続可能な村づくり~とさせて頂きました。阿智家族とは村ごと大きな家族として、夢を語り合い、支えあい、全ての人の心のふるさととして、人も星も輝く村をめざしていきたいという想いです。横断的な施策大綱として、「定住人口の確保、維持」「人づくり、健康づくり、地域力」「阿智ブランドの確立」「まちづくり計画」の4本の柱で、基本目標、大綱それぞれの仕事の中で、どれにも共通する横断的な事業を展開して参ります。
定住人口の確保はいうまでもなく、30年後の2045年には今の人口80%5,300人位を目標に、交流人口の増、自治と協働、くらしやすさをポイントに展開して参ります。
そして教育関係では地域を愛する教育、6つの保育園5つの小学校の維持、福祉健康では、医療体制の充実、あち健康プラン21の推進、そして各自治会単位の地域が元気になることが阿智村全体の活性化につながるとして、これらをまとめ、人づくり、健康づくり、地域力として展開して参ります。
そして、産業の発展が中心になりますが阿智ブランドの確立は、第三セクターの阿智昼神観光局や産業振興公社、商工会、JAなどの経済団体と連携をはかり、観光を基軸とした農商工林がしっかり連携をはかり、日本一レベルのブランド力をつけてもらいたいという願いです。
最後にまちづくり計画は、これから9年後に開通予定の、リニア、三遠南信自動車道の時代に向け、将来の道路計画、公共交通、施設等の各地域のまちづくり計画をしっかり論議し、立てていくというものです。
基本目標については「くらし・いきがい・協働」「教育・文化・地域愛」「医療・福祉・健康」「産業振興・雇用創出」「環境・防災・安心」の5項目とし、それぞれに施策の大綱を細かく作成し、成果指標を立て、今後の10年間の村づくりの指針を示させて頂いています。今後5年ごとの基本計画、単年度ごとの事業計画で詳細な事業について示させて頂く予定です。
平成30年度重点施策について
部門別に想いと具体的事業、新規事業を中心に説明いたします。
「くらし・いきがい・協働」
定住関係では、昨年作成した定住プローモーション動画をさらに活かし、南信州広域連合と協力して首都圏、中京圏への広報活動、村営住宅を30年度は智里西に、分譲住宅造成も中関下地区に行います。HPの充実、住宅新増改築等支援金など阿智村は定住に前向きに取り組みます。空家の利活用も積極的に行い、情報共有や有効活用に役立てます。
自治会活動の支援事業、ふるさと交流事業など例年通り事業の展開もして参りますし、熊谷元一写真賞コンクールのテーマは「はたらく」に決まり、阿智村の姿を是非多くの方に訪れて頂き写真を撮って再発見して頂きたいと考えます。
情報にも力を入れます。HPの充実と、ケーブルテレビでは週間ウィークリーニュースの放映や、広報誌も工夫し、村の人々のいきいきとした姿など、親しみのある読みやすい紙面を目指します。
主な事業と予算は
- 村営住宅建設事業 2,394万円
- 集落支援員事業(定住支援 他) 1,105万円
- 定住促進のための住宅新増改築等支援金 1,500万円
- 自治会活動支援金 2,153万円
- CATV運営事業 3,228万円
- 浪合高齢者センター改修 3,432万円
「教育・文化・地域愛」
子供達に住み続けてもらい、将来Uターンで定住してもらう為、そして子供達がふるさとに帰って来てくれる為、なんといっても教育は大切であります。普段の学業にプラス、ふるさと学習をカリキュラム化して地域を愛し、自然や歴史、地域資源を体験する教育を目指します。又、医療補助等の子育て支援の充実もはかります。
主な事業と予算は
- 学校司書、音楽支援員、ICT機器整備等 3,618万円
- 部活動指導員 49万円
- 智里西保育園改築工事 他保育事業 36,297万円
- 運動公園わいWai計画策定事業 50万円
- 産後ケア保健指導事業 81万円
- 高校生世代までの医療費支援 1,429万円
- 学童保育事業 1,823万円
「福祉・健康・医療」
健康で小さい子供からお年寄りが生きがいを持ち、幸せに暮らすことが何よりも大切です。当村では健康プラン21に沿って、年代別の健康増進、トリプルAサポート事業、特定検診の充実により、村民の健康づくりに邁進しています。新規では、清内路のデイサービスひだまり施設の整備事業、高齢者住宅の整備調査、歯科検診の対象者を拡充したり、インフルエンザ補助を18歳まで引き上げ、ロタウィルスワクチンの予防接種補助を計画しています。又3年ごとの介護保険計画が30年から始まり、保険料の見直しも検討して参ります。
主な事業と予算は
- 地域包括支援センター事業 6,227万円
- 各種健診事業等の実施 1,577万円
- デイサービスひだまり施設整備事業 11,000万円
- 予防接種事業 1,669万円
- 高齢者住宅等整備調査 50万円
- 地域で展開する健康づくり 3,000万円
「産業振興・雇用創出」
観光を機軸とした産業振興をめざすため、年間130万人が訪れる観光客にいかに阿智村のファンになってもらうか、交流人口の増加により、この村が潤い、定住人口につなげていきたいと思っています。観光では(株)阿智昼神観光局を中心に事業の展開や昼神温泉の将来構想検討を行っており、リニア三遠南信時代に向けた戦略を展開して参ります。星でブレイクした地域振興を、さらに全村に広めるため、治部坂を再生すべく星の駅構想として、天文観測レストハウス、遊歩道などを活用する事業を展開する予定です。
農林業は村の基盤産業として位置づけしています。今年もこれ以上遊休農地が増えないように、農地有効利用相談員を配置し、利用してくれる人へのコーディネートなどに取り組みますし、産業振興公社を中心に、地産地消や滞在型観光のしくみのため、産直市場の研究をさらに進めたいと思っています。自然エネルギーとしての木材利用推進や美しい里山作りのため、森林造成推進事業を行います。商工業も商工会としっかり連携し、地元業者が潤う住宅リフォーム事業や雇用奨励補助金など30年度も計上し、支援して参ります。
主な事業と予算は
- 観光事業の補助金 11,000万円
- スタービレッジ事業 2,500万円
- 産業振興公社助成金 2,813万円
- 農地環境保全事業 2,583万円
- 森林整備事業 3,020万円
- 有害鳥獣対策事業 1,604万円
- 商工業者経営支援、振興事業 1,200万円
- 住宅リフォーム促進事業補助 400万円
「環境・防災・安心」
私達が安心して暮らすために、大変重要な位置づけであり、まずは美しい景観の保全の創出として、子供からお年寄りまで地域一丸となる環境保全の取組を一緒に考え支援して参ります。又、全国的にも例があまりないのですが、特定空家等を解体する時、金融機関から融資を受けた場合の利子補給の制度を新設致しました。そして、道路等の整備では、緊急を要するものや、各地域から要望の出ているものから整備して参りたいと思っています。水道関係も水道メーター等でご迷惑をかけました。計画的に施設改修を行って参ります。又、公共交通では乗合いタクシーを正式に運行致します。高齢者、交通弱者のために、行きは公共のバスを利用して頂き、帰りは役場や、病院、スーパーから、1時間ごとの運行、約4分の1の料金で、この制度を利用して頂く事ができますのでよろしくお願いいたします。
主な事業と予算は
- 家庭ごみ等収集処理 19,706万円
- 村道の整備 5,850万円
- 中之橋架け替え事業 5,000万円
- 防災アドバイザー部落派遣 64万円
- 機能別消防団員の拡充 639万円
- 村内巡回、西部コミュニティバスの運行 2,297万円
- 乗合いタクシーの運行 200万円
以上、平成30年度の主な事業です。第6次総合計画の元年となります。新たな夢に向かった新規事業も多く組み入れさせて頂いている中で、長年の使われていない建物や施設、考え方を少しずつ紐解きながら、リニューアルしていこうと思っています。「星ふるさと」の精神で、阿智村も奥深き歴史のステージに、新たな輝きを刻んでいきたいと願っています。
議会審議
本議会でご審議いただく案件は、条例案件15件、事件案件4件、予算案件7件であります。
条例案件については、
- 「阿智村指定居宅介護支援等の基準を定める条例」の制定は、ケアマネ事業所の指定権限が県から村に移譲されることに伴い、条例を制定するものです。
- 「非常勤特別職報酬条例」の一部改正は、機能別消防団員の報酬等を定めるものです。
- 「常勤特別職の給与条例」の改正は、期末手当の率について国に準じて改正を行うものです。
- 「公益的法人等への派遣等に関する条例」の一部改正は、派遣職員の給与の支給について所要の改正を行うものです。
- 「阿智村税条例」の一部改正は、わがまち特例に関する所与の改正を行うものです。
- 「阿智村授産施設設置条例の条例」の一部改正は、利用者の定数について現状に合わせる改正を行うものです。
- 「阿智村後期高齢者医療に関する条例」の一部改正は、住所地特例に関する所要の改正を行うものです。
- 「阿智村介護保険条例」の一部改正は、第7期介護保険計画に基づき、サービス計画に必要となる保険料について、改定を行うものです。
- 「地域密着型サービス、地域密着型介護予防サービス、指定介護予防支援等の基準条例」の一部改正は、介護保険法の改正に伴う、所要の改正を行うものです。
- 「阿智村消防団員の定員等を定める条例」の一部改正は、機能別消防団員を条例定数に含め、補償等を団員と同等にするために所要の改正を行うものです。
- 「阿智村消防団員等公務災害補償条例」の一部改正は、補償の基準額を改正するものです。
- 「阿智村消防団員の退職報償金条例」の一部改正は、機能別消防団員については退職金を支給しないため、所要の改正を行うものです。
- 「阿智村商工観光業振興条例」の一部改正は、中小企業振興資金融資について、保証機関の扱いが変更となりますので、所要の改正を行うものです。
事件案件については、
- 「平成30年度航空写真撮影及び写真地図作成の事務の委託」は、その事務を飯田市に委託するために規約を定めるものです。
- 「阿智村第6次総合計画の制定」は、平成30年度から10年間の村の計画について議決をお願いするものです。
- 「阿智村辺地計画」の制定は、村内の辺地6地区の、平成30年度から5年間の計画について議決をお願いするものです。
- 指定管理者の指定については「東山道・園原ビジターセンターはゝき木館」の指定期間が終了となりますので、指定管理者を指定するものです。
予算案件は、
平成30年度阿智村一般会計及び各特別会計予算、企業会計予算の議決をいただくものです。
平成30年度阿智村一般会計予算は、歳入歳出予算総額49億2千万円、昨年度当初予算47億1千5百万円と比較し、2億5百万円の増であります。
歳入については、村税で前年度より310千円減の739,792千円、地方交付税は前年度より90,000千円減の2,370,000千円、村債は、デイサービスセンター改修、智里西保育園改築、クリーンヒル西部改修、道路改良事業等に443,600千円、臨時財政対策債は、前年度より1,000千円増の57,000千円、基金繰り入れは、分譲住宅地の購入、造成に土地開発基金から35,526千円、永倉様、後藤様の寄附金分等を子育て、教育に役立てるために、ふるさと振興基金から18,700千円など総額66,544千円となります。
歳出については、「事業等計画書」を参考にしていただきたいと思います。
次に特別会計ですが、
- 阿智村国民健康保険特別会計は、事業勘定で歳入歳出総額 587,400千円、直営診療所勘定で歳入歳出総額 74,200千円、
- 阿智村下水道事業特別会計は、歳入歳出予算総額 363,000千円、
- 阿智村介護保険特別会計予算は、歳入歳出予算総額 823,700千円、
- 阿智村農業集落排水事業特別会計は、歳入歳出予算総額 68,000千円、
- 阿智村後期高齢者医療特別会計は、歳入歳出予算総額 73,000千円であります。
- 阿智村水道事業会計は、収益的支出及び資本的支出の総額は357,820千円であります。
この他、平成29年度各会計の補正予算等について追加日程でご審議いただくことになります。
以上、それぞれの議案について申し上げました。上程の都度詳しくご説明いたしますのでよろしくご審議賜りますようお願いいたします。
おわりに
今回、浪合の農地整備の事業につきまして、職員が不適切な処理をしてしまった事を報告させて頂きます。数年前からの事業になりますが、地権者組合の仕事として、地権者から同意を取る仕事を振興室の職員がお手伝いする中で、地元を離れたある方と話の折り合いがつかず、間違った書類の作成をしてしまった事が発覚しました。大変重要な問題であり、皆様にご迷惑をかけてしまった事を深くお詫び申し上げます。職員の法令順守、仕事の仕方として今一度徹底をして参る所存です。申し訳ございませんでした。
さて、第6次総合計画を1年間かけ、多くの皆様からご意見を聞く中で策定して参りました。一番重視させて頂いたのが7月に行いました住民の皆様へのアンケートでした。2,000名の抽出させて頂いた皆様への依頼でしたが、回収率は約50%。その中から、重要度は高いが満足していない項目の中で、いくつか挙げますと、「公共交通の利便性」「働く場所の確保」「遊休農地対策」「医療体制の充実」など、阿智村の弱みが露呈されました。もちろん当村の強みもあり「自然環境の豊かさ」「観光資源豊富」「健康指導や健診の充実」「上下水道の整備」など多くありますが、今回の6次総合計画や、平成30年度の事業予算は、強みを伸ばし、弱みの対策に対応した計画とさせて頂きました。
全てというわけにはいきませんが、特にこれからさらに訪れる高齢化社会に向け、交通弱者の対応のため、乗合タクシーの事業は、村民のニーズに適した事業として今後うまく展開していくことを期待したいと思います。それと医療体制の充実は、私も最も力を入れたい点であり、浪合、伍和の診療所の医師が不足しておりましたが、4月からは常駐ではありませんが、週数日ある先生にお願いすることができましたので報告させて頂きます。
時代は常に動いています。地方創生による人口や地域活力の問題、少子高齢化、地方との格差などこれから取り組むべき問題も多くあります。そんな時、我が村が、輝く自治体として一人ひとりが元気と知恵を出して、皆で助け合い「阿智家族」の将来像のもと、素晴らしい阿智村をめざしたいと思っています。
以上3月定例議会の開会にあたり、ごあいさつ申し上げました。どうぞよろしくお願いいたします。