阿智村定例議会(平成28年9月9日)村長あいさつ
はじめに
残暑厳しい夏の終わりでありましたが9月になり暑かった記憶も遠くなり特に朝夕は涼しい時期を迎えました。予測不能な動きをした台風10号は東北や北海道に大雨を降らせ、死者行方不明者などの人的被害をはじめ、住家等に大きな被害をもたらしました。台風により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。これからも長雨や台風の時期で天候が心配されますが、早い復旧を願うところであります。
今年の夏は7月中旬から暑さが続き、好天気で、各地区のお祭りやイベントに、そして観光施設、野菜の収穫など大きな影響を与えました。大きな行事として、60周年を記念して8月4日に初めて行われた全国巡回ラジオ体操、みんなの体操会は、早朝にもかかわらず約1000人の方に参加頂きました。平日ではありましたが子供達が夏休みでもあり、全国の中でもかなり高い比率で参加頂いた事に深く感謝いたします。健康の大切さを再認識し、何より村民が目的を一つにしたイベントができた事、そして子供達が一生の想いでとして心に残った事が大きな成果だと思っています。
昼神温泉を中心とする観光施設は今年も7、8、9月といずれも好調で、阿智昼神観光局によると星空ツアーの影響はかなり大きく、昨年よりも平均で5%の増、星空ナイトツアーも7月のみで約40%の増と好調で、旅館の予約が取れずに周辺市町村にまで波及効果はあったようであります。又村のキャンプ場は今年も大盛況だったそうです。約3500人がこの夏利用し、全国的にも高い水準でありました。やはり星の話題で全国放送のテレビ、ラジオ、雑誌新聞の効果は大きく、星空日本一の村としての定着を感じさせられた夏でした。
さて、国政においては、7月10日に参議院選挙が行われ、特に長野県区は定数2から1という激戦区となりました。又18歳以上が初めて投票する国政選挙として大変注目されました。当村でもなんとか若い世代に政治に関心をもってもらいたい、それが村づくりにつながると信じ、投票率を上げる啓蒙活動など行いました。災害列島の復興の事、待機児童問題、原発の事、など新しい国の体制に期待したいと思います。今年から山の日が国民の休日になり、特に山岳観光を打ち出している長野県のさらなる施策や来年行われるJRのディスティネーションキャンペーンに期待します。そしてお隣の下條村では金田村長さんに変わり、永年お世話になった伊藤村長さんに感謝すると共に、近隣町村として新しい時代を築いていかなければならないと感じています。
又、国から昨年「子ども・子育て支援制度」「教育委員会制度」の変更方針があり、一年前から阿智村でも総合教育会議を行い、論議しています。この9月をもって現教育長の任期が満了となるため、10月より当村も新しい教育委員会体制が発足することになります。新しい体制の中での、教育長他委員の人事案件も今議会において上程することになりますので、よろしくお願いいたします。私たちはしっかりと将来の子供の教育を考え、人の事を思いやる、地域を愛する子供になるよう現場の声を重視し、進めていきたいと考えています。
村の状況
さて、阿智村ではこの約半年の間にも様々な出来事がありました。
うれしいデータのお知らせもあります。「元気で豊かな地方の創生」に全力を上げると公約して、本年3月に「まち・ひと・仕事、地方創生プラン」を、村民向けの勉強会等も開催し、各団体、自治会から意見を聞いて皆で作って参りました。現在、定住、人口増を一番の目的に住民が地域づくりに、職員が仕事の中で取り組んでいますが、この4月から8月までに7人の人口が増えています。大きな要因としては自然増減は例年と同じですが、4月にIターンなどの移住者が52人と、転出の28人を大幅に上回ったことであり、5月からのその後も順調に推移しています。毎年1年間で70人前後が減少している状況を見ますと、期待が持てる状況です。
リニア中央新幹線関係でありますが、リニア対策委員会から提言書を頂き、地元の方の了解を経て、1-20号線の工事用車両通行について具体的にJR東海と話をつめていくために測量に入っていくこと、そして、発生土置き場の調査をまずは斜口近くから優先的に行って頂きたい旨を県やJR東海にお願いしています。又、今後さらに村や議会、住民が一枚岩となり対応できるよう対策委員会に村と議会が加わり、一緒になって進めていくことに致しました。住民の安全確保や地域の発展の為、しっかり要望をJRや国県に伝え、綿密な対応を求め、同時にリニア時代をどう地域振興に活かして生きていくか、住民の皆さんと一緒になって考えて参りたいと思います。
8月31日には「空家等対策協議会」を発足し、建築業者、専門家等の皆さん11名で、阿智村の空家の現状分析や、今後の方針について協議致しました。空家等対策計画を制定することで、今後特定空家として認定となれば、行政の権限において解体も可能となり、一歩進んだ空家対策ができることになります。現在村内には280件程の空家があり、環境衛生的にも問題となっており、これから再利用も含め少しずつ着実に解決して参りたいと思っています。
9月6日には、これから企業の皆さんが当村の企業立地候補地に進出しやすくなるように、「貸付特約付土地売買契約」を創設し、この程第1号として、京田原工業団地に南信州菓子工房(株)さんと仮契約を結ばせて頂き、今回議決をお願いするものです。企業の皆さんが安心して、資金繰りも含めて、将来の安定した経営が見込めるように、分割して土地代を分納して頂く制度です。これによって、企業立地の好適な条件として判断頂く明るい材料となればと期待しております。
観光やまつりの関係では、前述しましたように昼神温泉、星空を中心に村内への経済効果は大変大きなものがありました。60周年を記念して行った7月7.8日には大塚愛さんのコンサートを開催。天気にもかろうじて恵まれ2日間で約1,800名の来場客に楽しんで頂きました。「阿智の夏まつり」も好天に恵まれ、たくさんのスターマインや二尺玉の花火も上がり、多くの皆様によって盛大に開催することができました。景気低迷の中ではありますが、例年より多くの皆様からご寄付を頂き花火の質もよく、山あいの大音響の中で喜んで頂けました。昼神温泉の夏まつりもお盆期間連日盛況でありました。
8月27日にはこちらも60周年の記念として、「村中の電気を一斉に消して星空を眺めよう」という企画がありました。生憎の雨で残念でしたが、家族などでゆっくり自然の素晴らしさを改めて感じる、そして団欒の大切さや、エネルギー問題など考える大変よい企画でした。
星の企画では、星のデザイン婚姻届を作成したところ、マスコミの話題や口コミでたちまち広がり、2か月で全国に送付した枚数が76、実際に村に届出をして頂いた方が9件ありました。星空のツアー終了後に婚姻届を役場に提出する方もいて、恋人の聖地として人口増に少しでも貢献している事にうれしく感じます。その他、原付の星のナンバープレートを9月1日より発行したところ初日に30人の方が希望されました。今後、観光用のPR映像の製作や年賀状、村内巡回バス等でデザイン化される予定ですので期待頂きたいと思います。
8月27日には防災訓練を村内一斉に行いました。今回は上中関に大規模被害が起きたとの想定で訓練を行ったわけですが、様々な反省も実際訓練をすることにより見えてきたと思います。「減災」という運動も赤十字奉仕団の皆さんが積極的に取り組んでくれています。災害が起きる前に、災害を減らすために私たちが日頃取り組むべきことを小さいことから始めようという運動です。行政がストップしてしまった時のことも考え、住民自治のしくみを是非再度各地区で確認をお願いできたらと思っています。
今年から広報あち、議会だよりのモニターを村民の方10名にお願いし、村民の皆さんがためになるよい紙面にする為、ご意見ご要望を聞く事になりました。9月からスタートとなり、しっかり意見を頂戴し、よりよい紙面作りに邁進して参りたいと思っています。
国や県に対して、7月は南信州広域連合や道路の期成同盟会として様々な要望活動も行って参りました。国道153、256号線、県道の改良工事や治水対策、水道事業など、設備ができて経年化しておりメンテナンスの重要性もあり、私たちの生活の安全のために、今後も引き続き要望をして参りたいと思います。
その他、充実した公民館行事、生涯野球大会、小中学生の沖縄研修、ニュージーランド研修、福島の子供たちのキャンプ、戦没殉難者慰霊祭、婚活事業などこの夏も阿智村の住民の皆さんは、元気にそれぞれの場で活躍して頂きました。
村の景気動向
まず製造業ですがどの業種も6~8月は前年並みから20%増というよい結果報告を頂きました。大手取引先の好調が要因であり慢性的な人手不足の対応に苦慮されているとの事です。工場を拡張する予定の会社もあり、雇用面等で大変感謝を申し上げたいと思います。卸小売業は前年比5%増で7月後半から天気がよく、星空ナイトツアーの影響は大きいとのことです。飲食店もツアーに合わせ開店時間を早め、閉店も遅くした工夫により10%増との報告もありました。建設業も5~10%の増、リフォーム補助金もこの3か月で19件と好調のようであります。
議会案件について
本議会においてご審議頂く案件は、人事案件2件、事件案件3件、契約案件1件、決算案件7件、予算案件2件、報告案件3件であります。
人事案件は、教育委員2人の方が9月30日をもって任期が切れますので、平成27年4月1日に一部改正された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づく教育長の任命、及び教育委員1名の任命について議会のご同意をいただくものです。
事件案件は、主要地方道天竜公園阿智線の改良に伴う払い下げ路線の村道認定についてと、清内路地区の旧国道256号線清内路峠トンネルの村道廃止について議決をお願いするものです。
財産の処分は、春日中関の京田原工業団地について、隣接の南信州菓子工房株式会社に売却するために議決をお願いするものです。
契約案件は、役場庁舎関係の停電時の非常用電源設備の請負契約について議決をお願いするものです。
決算案件は、平成27年度阿智村一般会計及び各特別会計決算の承認を得るものであります。
一般会計決算は、歳入合計5,894,167,806円、歳出合計5,346,620,265円、歳入歳出差引額547,547,541円、翌年度への繰り越し財源98,363,000円を差し引いた実質残額は、449,184,541円となりました。昨年度からの繰越金430,004千円、財源補填的繰入金29,877千円を差し引き、年度内積立金371,435千円を加えた単年度実質収支額は、360,739千円の黒字となりました。歳入についてみてみますと、村税が2,245千円ほど前年度より増、地方交付税は22,099千円、国県支出金、繰越金、村債が1,771,799千円の減となり、総額では1,857,972千円の減となりました。歳出については、人件費が871,969千円と19,482千円前年度を上回りました。この主な原因は、国の人事院勧告に準じた職員給与の改定、村費教員の増員、調理場嘱託職員数の増によるものであります。経常的経費は、起債償還の減少や雪害関係の補助が終了したこと等により249,430千円の減となりました。投資的経費は、大型事業が終了したことにより1,687,194千円減となりました。
特別会計は、国民健康保険事業勘定では、歳入額768,777,010円、歳出額733,179,587円、差引額35,597,423円、直営診療勘定歳入額96,139,222円、歳出額75,833,935円、差引額20,305,287円
水道事業は、歳入額228,320,533円、歳出額219,671,773円、差引額8,648,760円
下水道事業は、歳入額312,424,608円、歳出額296,898,802円、差引額15,525,806円
農業集落排水事業は、歳入68,502,671円、歳出額66,791,139円、差引額1,711,532円
介護保険は、歳入額777,035,714円、歳出額767,155,750円、差引額9,879,964円
後期高齢者医療では、歳入額66,583,721円、歳出額65,953,743円、差引額629,978円となっています。
一般会計等からの財源補填的な繰入金は、国保直診勘定で39,451千円、起債償還を中心に水道事業で45,163千円、下水道事業で192,984千円、農集排で54,008千円となっています。
借金である地方債の現在高は、一般会計で昨年より728,899千円減の3,596,924千円、特別会計で196,689千円減の2,960,298千円となりました。合計では925,588千円減の 6,557,222千円であります。
一方貯金である基金残高は、一般会計で昨年度より341,157千円増の5,830,203千円、特別会計では10,008千円減の575,867千円となり、合計では331,149千円増の6,406,070千円となりました。財政の健全化を見る指標については、経常収支比率は72.7%、実質公債比率は、昨年度より2.6%改善され2.3%となっています。
各種会計での未収金については滞納整理を進め、8月2日現在で4,069千円の徴収を行いましたが一般、特別会計合計で50,693千円の未収金となっています。
滞納が増えることは全てに悪影響を及ぼすことになります。滞納額の減少のため庁内を挙げて努力してまいります。
予算案件は、一般、特別ともに補正予算についてであります。
一般会計補正予算第3号は、既定の歳入歳出予算4,836,306千円に歳入歳出それぞれ326,610千円を追加し歳入歳出総額5,162,916千円とするものであります。
歳出の主なものは、
- 個人番号利用の運用テスト支援の委託 1,807千円
- 個人番号制度システム改修委託 2,000千円
- 臨時福祉給付金事業 4,700千円
- 個別予防接種事業 1,700千円
- かんがい排水整備事業補助金 2,100千円
- 農道等整備事業補助金 1,500千円
- 地元施工災害復旧工事補助金 1,600千円
- かんがい用ため池改修事業補助金 300千円
- ニホンシカ、イノシシ等の捕獲報償費 9,150千円
- 昼神の渓流荘の観光施設への改修費 10,000千円
- 誘客対策補助金 12,000千円
- 村道維持補修工事 28,000千円
- 村営住宅のシロアリ対策費 3,030千円
- 中関村営住宅解体費 3,300千円
- 災害時備蓄品の購入 1,900千円
- 永倉さんからの寄附15,000千円を活用し学校、保育園のテント等購入 3,600千円、ふるさと振興基金への積立 11,400千円
- 前年度繰越金の2分の1を財政調整基金に積立 226,800千円
特に、長年課題となっていました昼神温泉郷内にある渓流荘跡地の再利用につきまして、今回補正を組ませて頂きました。清内路、園原側への観光ガイドセンター機能の役割を果たすべく、運営して参りたいと思います。阿智昼神観光局に運営をお願いする予定であり、特にはなももや星空ツアーでは、案内の需要は高く、観光客や地域の皆さんへの情報発信、集える場として機能していくよう考えます。
また、繰越金を補正財源に充て、臨時財政対策債については、115,000千円減額しました。
特別会計については国民健康保険事業特別会計について必要な補正を行います。
報告案件については、損害賠償事案3件について報告するものです。
以上、ご審議いただく案件についてご説明いたしました。詳細については上程の都度詳しくご説明いたしますのでよろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
おわりに
この9月定例会をもって現議員の皆様の任期満了に伴う最後の定例議会となります。特に私が就任して一から見直す機会が多かった事や、地方創生の計画策定、観光局の発足、60周年記念事業など大変お世話になりました。村の発展のため、村民の幸せのためご尽力頂きましたことに深く感謝申し上げます。
さて、9月30日には村制60周年記念式典があります。多くのご来賓の皆様関係者をお迎えし、盛大に開催致します。村政要覧、あゆみ、映像など急ピッチで作成しており、村の歴史をしっかり振り返り、先人の皆様のご労苦に感謝し敬意を表し、そして夢の持てる希望に満ちた式典になるよう計画しています。これからの記念行事もオリンピック金メダリスト古賀稔彦さんの講演会や、駅伝大会にはリオオリンピックで走った猫ひろしさんが来て華を添えてくれる予定になっています。
秋は、栗矢の無礼講が始まり、各地域でお祭りがあったり敬老会、運動会と多くの皆さんが協力して楽しんで頂く機会が多かろうと思います。私もお伺いさせて頂いて村民の皆さんと直接お話ができる場でもあります。皆さんが集う中で村の将来の事を話す場でもあればよいかと思っています。今年も9月19日の敬老の日を中心に、百歳、米寿の方などにお祝いの訪問をさせて頂く事になっています。今年は百歳の方が3名、米寿の方が58名とこの村を支えてきて頂いた先輩の皆様に敬意を表したいと思います。最高齢は107歳です。皆さんいつまでもお元気で、野菜を作ったり、村の歴史や伝統、素晴らしさをしっかり私達に伝えていってもらいたいと願います。
以上本会議に上程いたします議案等について申し上げました。みなさんと共に住みたい地域、夢のある地域に向かっていい村作りにまい進していきますようご尽力をお願いして9月定例議会のあいさつと致します。