阿智村定例議会(平成27年12月10日)村長あいさつ
(はじめに)
12月定例議会に際しまして一言ごあいさつ申し上げます。
先週には雪も舞い始め、師走の大変寒く忙しい時期となりました。1月からのこの1年を振り返りますと、国の地方創生政策の一環として「地方人口ビジョン」及び「地方総合戦略」の策定が求められ、この総合戦略に基づく事業の実施にあたっては新型交付金が手当され、税制あるいは地方財政措置など支援がうたわれているところであります。阿智村も、これまでに第5次総合計画、後期基本計画の検証をしながら、若者の定住に対する調査や、各地区の人口動向を資料に10、11月に開催した各自治会懇談会でご意見を頂戴いたしました。現在、産業振興協議会や各団体に意見をお聞きし、年度内には策定の運びとなりますのでよろしくお願い致します。
又、マイナンバー関連では、通知カードの発送が始まり、郵送による配達は終了したと報告を受けています。現在のところトラブル等はありませんが、わからない事があれば役場に気楽にお問い合わせ頂きたいと存じます。スムーズな移行のため村民の皆さんのご協力をお願い致します。
いよいよ来年、平成28年は、昭和31年9月30日に阿智村が誕生して、60年の節目の年となります。苦労に苦労を重ね、先人が築いてきてくれたこの阿智村が記念すべき還暦を迎えます。村民全員でお祝いをし、楽しめる企画を一緒になって計画して参りたいと思っています。具体的には4月からとなりますが、記念の式典やイベント、通常の事業に冠をつけ、盛り上げる構想を現在練っています。歴史を振り返り、夢のある村の再スタートとして、来年度予算編成を行って参りたいと考えています。
(村の状況)
さて、阿智村ではこの3か月の間に様々な出来事がありました。
主なものをいくつか申し述べさせて頂きます。
・スタービレッジ星の事業で観光客が6万人を突破
・星の事業がジャパンツーリズムアワード地域マネジメント部門賞、県ブランドアワード知事賞受賞
・リニア中央新幹線残土置き場公募 環境アセスメントアンケート実施
・観光組織検討会議、昼神温泉将来構想検討会議の進捗
・各地で祭り、文化祭、敬老会盛大に開催
・各地で保育園、小学校、村民運動会開催
・村政懇談会各地区で開催、来年度の要望など
・阿智村村民コンペ(ゴルフ、マレット)盛大に開催
・阿智祭、商工祭盛大に開催
・熊谷元一写真賞コンクール東京で表彰式開催
・第47回阿智村駅伝大会
・阿智中学校3年生との懇談会
・定住パンフレット、婚活から子育て支援のHPが近くに完成
・阿智村出会いプロジェクトが平谷村、根羽村と協力し東京で婚活
・旧智里西小学校解体工事
・清内路保育園改修工事
・安布知神社本殿および拝殿が県宝に指定
・恩田井水8年越の総工費約12億円の工事終わる
代表的なものとして、先日スタ-ビレッジ協議会の総会が行われ、今年の春から秋にかけての観光客数が昨年の3万2千人を大幅に上回りほぼ倍増の6万3千人が訪れて頂いたとの報告がされました。後ほど景気動向調査の中でも触れますが、星のおかげで昼神温泉の宿泊客がいずれも好調で、他の産業にも非常によい相乗効果が表れており、非常にうれしく思う次第です。
又、全国観光の権威でもありますジャパンツーリズムアワードの地域マネジメント部門賞や県ブランドアワードの県知事表彰の受賞も頂きました。全国のマスコミ等にも取り上げていただいたおかげで集客と、各地の自治体や観光協会などの視察も多く来て頂きました。
「日本一の星空」の誘客事業は、さらにパワーアップし、なみあい治部坂では、冬にかけてアカデミックな星見の会も計画され、さらに村内外の皆さんに「星のきれいな村」のPRができたように思います。星がきれいという事は空気や水がきれい、そこで作る農産物も美味しい、人の心もきれい。というように観光面のみでなく教育等様々な面で星の村としてさらに定着できればよいと考えます。
リニア中央新幹線についてですが、この10月から11月にかけ残土活用の候補地の公募を村内で行いました。村内から8か所の候補地が出されましたが現在事務的な確認作業をさせて頂いています。今後、斜坑口近くの住民の皆さんや全住民の安全確保を第一に、その中で考えられる安全な工事の可能性を探りながらしっかり要望を伝え、社会環境アセス等の結果を見ながら残土活用の候補地を見極めて参りたいと思います。飯田市の駅周辺整備も「飯田市リニア駅周辺整備基本構想」を具体化するため、来年度にかけ「基本計画」や「道路ネットワーク」も検討、策定される予定ですので、阿智につながる道路の要望を、広域等で意見交換して参りたいと思っています。
リニア時代をどう地域振興に活かしていくか、住民の皆さんと一緒になって考え、リニア対策委員会、議会と協議を重ねる中で方向性を見出していきたいと考えています。
又今年は第18回の熊谷元一写真コンクールの表彰式を東京新宿で開催しました。今年も全国から332人955点の応募がありました。全国規模の大きなコンクールとなりましたので、表彰者の足も考え、又写真を通じて阿智村を全国にPRも兼ねて開催しました。大きな効果があったと思いますが、阿智村の写真にこだわり原点に返る事を来年のテーマ「阿智村」と「祝う」の二つのテーマに活かして参りたいと思います。
11月29日には伝統の第47回阿智村駅伝大会が開催されました。今年も大変盛り上がり、オリンピックランナーの園原健弘さんは「こんなに主催者側のスムーズな運営と応援される皆さんが盛り上がる大会はなかなかない」と言って下さいました。これも伝統とスポーツ推進員、公民館を中心とする村民の皆さん全ての御協力の賜物と深く感謝致します。
健康福祉面では、健康プラン21の策定により、阿智村の健康の傾向が出ていますのでその対策について、部落常会などで保健師が説明させて頂いています。独自の健康体操も県の大会で発表させて頂きました。大変好評で近くケーブルテレビ等で村民の皆さんに覚えて頂く予定です。保健福祉審議会も随時開催しており、各分科会に別れての熱い論議を頂いています。
(村内の景気動向について)
商工会の景気調査によると、全体的な村の景気は、この秋は星や紅葉、りんご狩りなどの観光面で、天気がよかった事もあり、旅館業、卸小売業全般、飲食業とも10~20%増の回答が多く、観光とうまく結びつく経済効果が顕著に現れたという非常によい報告を受けました。製造業では医療用機器や食品製造機器など新しい分野での挑戦している企業は9~11月の売り上げは前年より10%の増だったようです。農産物の加工等手がけている企業はシルバーウィークや星や雲海のお客様の増や、コンビニへの取引により前年対比20%増でありました。ナイトツアーの効果ですが、これは従来の利用客の平均年齢をはるかに下回る若者の宿泊により、新しい顧客の開拓につながったことが大きな要因です。ただ建設、建築業はこの秋は仕事が薄く、畜産業は厳しい状況が続いており、新たな手立てが望まれるとの事です。
(議会案件について)
本定例会においてご審議頂く案件について申し上げます。案件は、報告案件1件、人事案件1件、条例案件5件、事件案件2件、予算案件6件であります。報告案件は、専決第10号、平成27年度阿智村一般会計補正予算第5号について承認をお願いするものです。既定の歳入歳出予算総額に1,200千円を追加し、歳入歳出予算総額を5,092,373千円とするもので、内容は治部坂別荘地内の道路工事についての補正であります。人事案件は、固定資産評価審査委員の内1名が任期満了になりますので、選任について同意を求めるものであります。
条例案件のうち、
「阿智村個人番号の利用等に関する条例」の制定は、個人番号の利用が開始されることに伴い、村独自の番号利用事務等について条例で定めるものです。
「阿智村税条例の一部を改正する条例」の制定は、地方税法等が一部改正されたことに伴う、関連条文の改正です。
「阿智村営水道条例の一部を改正する条例」及び「阿智村下水道条例の一部を改正する条例」の制定は、料金の改定をお願いするための条例改正です。
「阿智村消防団員等公務災害補償条例の一部を改正する条例」の制定については、年金一元化法により共済年金が厚生年金に統合されることによる、関係条文の改正を行うものです。
事件案件のうち、
「新村建設計画の変更について」は、浪合との合併時に策定した新村建設計画について、法律の改正により5年間延長できることになりましたので、計画の期間を10年間から15年間に変更するものです。
「過疎地域自立促進計画について」は、過疎地域自立促進特別措置法が延長されましたので、平成28年度から平成32年度までの村の過疎地域自立促進計画を定めるものです。
予算案件は
平成27年度阿智村一般会計補正予算第6号は、既定の歳入歳出予算総額から、それぞれ10,680千円を減額して歳入歳出予算総額をそれぞれ5,081,693千円とするものです。
歳出の主なものは、
・番号制度の導入に関連し、システム改修の追加1,020千円
・ふるさとづくり基金の積立金2,840千円
・ふるさと納税者への謝礼追加620千円
・地域おこし協力隊の報酬減額△3,200千円
・地域おこし協力隊公用車購入費追加1,000千円
・定住住宅新造改築等支援金追加12,000千円
・ぬくもりの田舎暮らし推進事業補助金の追加900千円
・国民健康保険特別会計への基盤安定分繰り出しの追加9,925千円
・更生医療事業給付金の追加1,500千円
・障害者、障害児給付の追加1,500千円
・自立支援給付費、障害児給付費等国庫負担金返還金の追加890千円
・養育医療扶助費の追加500千円
・個別予防接種の委託料追加2,000千円
・かんがい排水整備事業補助金の追加1,500千円
・多面的機能支払交付金の減額△1,780千円
・公団分収造林の事業費が確定しましたので、委託料及び工事請負費の減額△5,671千円
・松枯損木伐倒駆除委託料の減額△1,341千円
・中之橋架け替え工事の国庫補助金の減額に伴い委託料及び工事請負費の減額△14,700千円
・耐震リフォーム補助金の追加2,400千円
・学校施設整備事業の完了に伴い委託料及び工事請負費の減額△3,260千円
・中学生の海外派遣研修補助金の減額△3,000千円
この他に職員の異動に伴う人件費等必要な補正をお願いするものです。
歳入の主なものは地方交付税16,263千円、国庫負担金△33,209千円、県負担金4,765千円、寄附金3,000千円、ふるさと振興基金繰入金△3,308千円、公団分収造林事業受託収入△5,748千円、全国防災事業債1,800千円などです。
特別会計補正予算5件は、それぞれ必要な追加等を行うものであります。
以上がご審議いただく案件であります。上程の都度詳しく説明致しますのでよろしくご審議を頂きますようお願い致します。
(おわりに)
来年3月下旬には、いよいよ待望の主要地方道、天竜公園阿智線の「栗矢トンネル」「栗矢大橋」が開通し、下條村との交通のアクセスが格段によくなります。奇跡の村として全国からも注目を浴びている下條村のよい例を学びながら、お互いに切磋琢磨し合い、協力し合い、この道路が命の道、経済交流の道となるよう発展させて参りたいと思っています。特に151号線を通じてお見えになる観光客も多くなる事が予想されますので、お互いの施設が潤うよう滞在型観光、交流人口増のしくみ作りに邁進したいと思っています。
平成27年もあとわずかです。今まで充分に機能していない制度や事業があることもわかってきました。それらの反省をもとに28年は村民の意識をさらに高めるしかけ、さらに村民が参加するしかけを考えて参りたいと思っていますし、普段なかなか参加することのできない村民の皆さんの意見もしっかりお聞きし、時にはわかりやすい村の動きを説明する場も必要かと思っています。そして今までもお伝えするように、子供から大人までが、村の事をしっかり知る、観光案内ができるあたたかい村にしたいと考えています。
国勢調査の結果からしても人口減のデータにより交付税がだんだん少なくなっていく中で、事業や体制の見直しをしながら、いい事は伸ばし、それぞれの分野で新しい事にチャレンジしていきたいと思っています。
以上本会議に上程いたします議案等について申し上げました。みなさんと共に住みたい地域、夢のある地域に向かって一緒になっていい村作りにまい進していきますようご協力をお願いしてあいさつとさせて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。