阿智村定例議会(平成27年9月10日)村長あいさつ
(はじめに)
9月になり夏の暑かった記憶も遠くなり涼しい時期を迎えました。ここ数日は台風や長雨も続き農作物への影響も懸念されますが、栗矢の無礼講が始まり、田んぼも色づき始めると一気に秋だと感じます。
今年の夏は7月下旬からうだるような暑さが続き、好天気で、各地区のお祭りやイベントに、そして観光施設、野菜の収穫など大きな影響を与えました。昼神温泉を中心とする観光施設は8月はいずれも好調で、関係者によると星空ツアーの影響はかなり大きく、旅館の予約が取れずに周辺市町村にまで波及効果はあったようであります。又村のキャンプ場は例年に比べ大盛況だったそうです。この夏、星の話題で全国放送されたテレビ、ラジオ、新聞雑誌等取材して頂いたマスコミは実に50件。視聴率の高い番組の翌日は、役場やガイドセンターに問合せが殺到しました。
村民の皆さんの遠くのご親戚知人からも「阿智村が放映されたよ」と電話があったのではないでしょうか?星空日本一の村としての定着、パブリシティの効果の大きさを感じさせられた夏でした。
さて、国政においては、地方創生を掲げ政権最大の課題として「元気で豊かな地方の創生」に全力を上げると公約して、現在各地方では地方創生プランを作成中です。当村でも村民向けの勉強会等も開催し、若者の意見の集約を行い、次の段階として第5次基本構想の整合性、各団体、自治会から意見を聞く予定になっています。
全国でも人口減に悩まされている地域は多く、過去も現在もその厳しい現実に向かい合っているはずであり、私も地域の発展策とは、常々もっと地域に寄り添い「あの空き家なら移住者が入る可能性がある」「近所の子供達に地域のよさを知る活動」など具体的に考え、地域の可能性をひとりでも多くの方と共有することだと思っています。
連日賑わしている安保法案についても、さらなる論議と説明によりしっかりとした理解を得ることが大切と考えます。株価の暴落、子供の誘拐事件、世界では中東難民の移動の事などショッキングなニュースも流れ、平和のありがたさを実感した次第であります。
又、本年4月から「教育委員会制度」の変更があり、7月中旬阿智村でも教育大綱の会議を行い、論議致しました。私たちはしっかりと将来の子供の教育を考え、人の事を思いやる、地域を愛する子供になるよう現場の声を重視し、進めていくべきと考えています。
(村の状況)
さて、阿智村ではこの約半年の間にも様々な出来事がありました。
観光の関係ですが、6月の議会の折にも少し触れさせて頂きました昼神温泉の将来構想の検討会議をこの9月7日に発足させて頂きました。昼神温泉を中心とする観光関係者、地域の皆さんを中心に組織させて頂きました。出湯40年が経過した温泉郷は、厳しい経済情勢の中で新たなステージへ生き残りをかけ、リニア、三遠南信自動車道が開通する12年後の為にも、次なる施策が重要と考えています。まずは今年度末をめどに検討を行って参りたいと考えています。
又、現在第3セクターとして昼神温泉エリアサポートが村と連携しながら観光誘客を図っていますが、5月の株主総会において阿智村全体の観光戦略を担う組織として、昼神だけでなく面としてとらえ着地型観光をすべきだとの意見が出されました。観光の組織はいくつかあり、複雑ではありましたので、村としてもこの9月8日に組織検討委員会を立ち上げました。こちらは年末をめどに意見を聞いて進めて参りたいと思っています。
昼神温泉郷の中心にありました元「富士の湯」の解体工事も始まりました。長年閉まったままでしたので、昼神のイメージにも影響を与えていたわけですので、将来構想とあわせて後利用を検討していくつもりであります。
又、今回補正予算の上程にもございますように中津川からのバス運行など、南信州、木曽など広域観光の具体的な足がかりも作って参りたいと考えています。
リニア中央新幹線関係でありますが5月にリニア対策委員会のメンバーを増員し、新たに発足し、村の方向性が間違わないように6、7月を中心に協議して頂きました。
清内路の非常口近くの住民の皆さんの安全を第一に、残土処分の場所に関係なくしっかりとした対応をすること、残土の活用も含めて村内に自治会を中心に公募の形をとるよう答申がされ、村としても準備を進めています。同時に社会環境アセス委員会の、通行量調査、観光客、住民等へのアンケートを実施しました。リニアに対する感想、残土の運搬によって与える影響の心理的な調査を行いました。住民の安全確保が第一ですのでしっかり要望をJRや国県に伝え、同時にリニア時代をどう地域振興に活かしていくか、住民の皆さんと一緒になって考えて参りたいと思います。
8月30日には防災訓練を村内一斉に行いました。今回は清内路に大規模被害が起きたとの想定で訓練を行ったわけですが、様々な反省も実際訓練をすることにより見えてきたと思います。「減災」という運動も赤十字奉仕団の皆さんが積極的に取り組んでくれています。災害が起きる前に、災害を減らすために私たちが日頃取り組むべきことを小さいことから始めようという運動です。行政がストップしてしまった時のことも考え、住民自治のしくみを是非再度各地区で確認をお願いできたらと思っています。
7月上旬には1000日間死亡事故がない表彰を県知事から頂きました。120万人が訪れる観光地としては評価が高いそうですが、残念ながら頂いてすぐに続けて浪合、智里東の国道で死亡事故が起きてしまいました。
交通安全協会では9月21日から秋の交通安全運動が始まります。飯伊地区では最大規模の人波作戦で、事故のない村に又一からチャレンジです。
健康については、8月27日には保健福祉審議会を立ち上げ、向こう3年間の阿智村の健康施策を議論頂き答申頂くことになりました。昨年に続いて3期目となりますが、今までご意見頂いた件は一部村政にも反映され住民の意識も高く、時代は常に変わってきておりますので又ご意見を頂きたいと思っています。村民に公開で行われますので是非関心のある方はご参加下さい。トリプルAサポート事業など村民の意識もかなり高まってきつつあり、健康であることが自分にとっても家族にとっても村にとっても一番のしあわせかと思います。
村民の村づくりの活動も活発で、7月9日には現在74ある村づくり委員会の中から3団体に事例発表して頂きました。又名誉村民であるGOKOカメラ会長の後藤正さんの講演会も同時開催し、遠く離れていても村に対する熱い想い、80代後半という年齢にもかかわらず常に明日の事を考えるバイタリティーさに深く感銘を受けました。公民館活動もチャレンジゆうAchiの活動も例年に増して活動が多く、村民主体の村づくりの礎がしっかり根づていると感じました。
今後村づくり委員会を通じて、若い世代の関心を高めるしかけもしていきたいと感じています。
国や県に対して、7月は南信州広域連合や道路の期成同盟会として様々な要望活動も行ってまいりました。国道153、256号線、県道の改良工事や治水対策、水道事業など、設備ができて経年劣化しておりメンテナンスの重要性もあり、私たちの生活の安全のために、今後も引き続き要望をして参りたいと思います。
その他「阿智の夏まつり」も好天に恵まれ二尺玉の花火も上がり、多くの皆様によって盛大に開催することができました。
生涯野球大会、小中学生の沖縄研修、福島の子供たちのキャンプ、山岳観光として富士見台で県主催のイベント開催、商工会に主導頂いたプレミアム商品券発売、戦没殉難者慰霊祭、婚活事業などこの夏も阿智村の住民の皆さんは、元気にそれぞれの場で活躍して頂きました。
(村内の景気動向について)
阿智村商工会に調査頂いた全体的な村の景気は、やはり天候好調による星の事業効果は大きく観光、飲食業全般で7月は0~5%の減でしたが8月は昨年に比べかなりよく50%増の売上を計上した店もありました。卸小売業はプレミアム商品券と星の効果は大きく、夜の防寒対策の服など買われる客も多く、前年対比5~10%増でありました。製造業は6~8月の売り上げは前年並みからダウンの傾向にあり、中国やヨーロッパの影響もあるようです。食品製造は販路の拡大にも成功し軒並み好調とのことで、安心しているところであります。建設業はこの夏は仕事が薄かったが、リフォーム補助金もあり9月以降は受注も好調のようであります。
(上程案件について)
平成26年度の決算がまとまりました。おおよその歳入総額は一般会計で約78億円、歳出総額は約73億円、基金や預金で約61億円、起債が約75億円であり、ただ起債については数年にわたり交付税で算定されますので、実質的には約3割が起債となり、健全な財政運営が行われております。細部については議案上程の際、説明させて頂きます。
また、このほど事業評価シートを作成し、平成26年度の事業が内部から見てどうだったかを評価し、村民益にどの位貢献できたかを検証しています。費用対効果で数字で表すことはなかなか難しいため、どれだけ村民の皆さんに満足して頂けたか、村民のしあわせのために有効な事業やお金が使われたかを、おはかり頂きたいと思っています。
それでは、本議会においてご審議頂く案件は、報告案件1件、人事案件2件、契約案件1件、条例案件25件と決算案件7件、予算案件2件であります。
報告案件は専決処分事項に報告するものであります。
専決第9号、平成27年度阿智村一般会計補正予算第3号は、規定の歳入歳出総額に2,170千円を追加し、歳入歳出予算総額を4,781,008千円とするものであります。補正予算の内容は、なみあい遊楽館改修工事による補正であります。
人事案件は、教育委員1人の方が9月30日をもって任期が切れますので、任命について議会のご同意をいただくものと、人権擁護委員1名が任期を迎えますので、候補者を推薦していただくものであります。
契約案件は、中ノ橋架替工事について追加がありますので、変更請負契約議決をお願いするものです。
条例案件が25件ありますが、その中で
「阿智村放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例」の制定は、児童福祉法が改正されたことにより、事業の設備と運営の最低基準を条例により定めるものです。
「昼神温泉朝市広場設置条例」の制定は、整備してきました朝市広場について条例で位置づけるものであります。
「阿智村個人情報保護条例の一部を改正する条例」の制定は、個人番号法の施行に伴う、個人番号を含む個人情報の扱いについて、所要の改正を行うものであります。
「阿智村手数料条例の一部を改正する条例」の制定は、個人番号法による個人番号通知カードと個人番号カードの再発行に伴う手数料について、所要の改正を行うものであります。
「災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する条例の一部を改正する条例」の制定は、支給金額等を、災害弔慰金の支給等に関する法律に合わせるものであります。
「阿智村公告式条例の一部を改正する条例」の制定から、「阿智村消防団の設置に関する条例の一部を改正する条例」の制定までの、17の条例一部改正につきましては、法律の改正による法律名の変更、参照条項等のずれや、条文の誤り等について見直しましたので、該当条例の改正をするものであります。
「阿智村特別土地保有税審議会条例を廃止する条例」、「阿智村支援費支給条例を廃止する条例」、「受託県有林保護管理条例を廃止する条例」の制定は、既に制度がなくなっていますので、関係条例を廃止するものです。
決算案件は、平成26年度阿智村一般会計及び各特別会計決算の承認を得るものであります。
一般会計決算は、歳入合計7,752,140,169円、歳出合計7,322,136,138円、歳入歳出差引額430,004,031円、翌年度への繰り越し財源54,369,000円を差し引いた実質残額は、375,635,031円となりました。昨年度からの繰越金935,553千円、財源補填的繰入金116,822千円を差し引き、年度内積立金387,079千円を加えた単年度実質収支額は、289,661千円の赤字となりました。
しかし、財政補填的な臨時財政対策債210,703千円を借り入れなかったことや起債の繰り上げ償還を430,494千円行ったので、これを勘案すると351,536千円の実質黒字となります。また、合併算定替による交付税の増加分が517,106千円ありますので、算定替がないと仮定しますと、165,570千円の赤字となります。
歳入についてみてみますと、村税が4,545千円ほど前年度より増、地方交付税は190,260千円の減となりましたが、国県支出金、繰越金、村債が1,604,936千円の増となり、総額では1,157,296千円の増となりました。
歳出については、人件費が852,487千円と13,111千円前年度を上回りました。この主な原因は、保育園嘱託職員数の増によるものであります。経常的経費は、雪害による農業施設への補助や起債の繰上償還により342,263千円の増となりました。投資的経費は、1,470,228千円増となりました。災害復旧事業費639,892千円、防災行政無線デジタル化318,323千円、共同調理場建設事業490,148千円が主なものであります。
特別会計は、国民健康保険事業勘定では、歳入額699,085,288円、歳出額665,143,853円、差引額33,941,435円、直営診療勘定歳入額99,952,815円、歳出額79,842,812円、差引額20,110,003円
水道事業は、歳入額281,682,145円、歳出額258,066,460円、差引額23,615,685円、翌年度への繰り越し財源14,537,000円を差し引いた実質残額は9,078,685円
下水道事業は、歳入額256,234,361円、歳出額243,181,913円、差引額13,052,448円、翌年度への繰り越し財源160,000円を差し引いた実質残額は12,892,448円
農業集落排水事業は、歳入92,850,234円、歳出額91,770,818円、差引額1,079,416円
介護保険事業は、歳入額781,764,281円、歳出額767,607,511円、差引額14,156,770円
後期高齢者医療では、歳入額67,302,817円、歳出額66,521,639円、差引額781,178円となっています。
一般会計等からの財源補填的な繰入金は、直診勘定で54,949千円、起債償還を中心に水道事業で58,195千円、下水道事業で153,208千円、農集排で78,474千円となっております。
この結果、借金である地方債の現在高は、一般会計で昨年より246,318千円減の4,325,823千円、特別会計で234,721千円減の3,156,987千円となりました。合計では481,039千円減の7,482,810千円であります。
一方貯金である基金残高は、一般会計で昨年度より173,615千円増の5,489,046千円、特別会計では26,729千円減の585,875千円となり、合計では146,886千円増の6,074,921千円となりました。財政の健全化を見る指標についてでは、経常収支比率で76.0%、実質公債比率は、昨年度より1.7%改善され4.9%となっています。
6月定例議会で詳しくご説明しました各種会計での未収金についてでありますが、その後も滞納整理を進めてまいり、8月4日現在で7,103千円の徴収を行いましたが一般、特別会計合計で57,971千円の未収金となっています。
滞納が増えることは全てに悪影響を及ぼすことになります。滞納額の減少のため庁内を挙げて努力してまいります。
予算案件は、一般、特別ともに補正予算についてであります。
一般会計補正予算第4号は、既定の歳入歳出予算4,781,008千円に歳入歳出それぞれ310,165千円を追加し歳入歳出総額5,091,173千円とするものであります。
歳出の主なものは、
- 番号制度に対応するためのシステム改修委託 1,933千円
- 地方公会計を進めるための固定資産台帳整備委託 2,600千円
- 結婚、出産、子育て支援のホームページ作成 600千円
- 熊谷元一写真コンクール表彰式と写真展の東京開催等 708千円
- 広域入所保育の委託料 1,327千円
- サル、ニホンシカ、イノシシの捕獲報償費 8,100千円
- 地方創生交付金を活用し南信州・飯田産業センターへの最新機器導入の負担金10,000千円
- 中津川駅からのバス運行など特別誘客対策補助金 7,000千円
- 県の交付金を活用し、昼神温泉に外国人旅行客を受け入れるための環境整備補助金 3,000千円
- 昼神温泉井戸への水位計の取付等 9,700千円
- 村道用地の未登記地番を確認するための業務委託 3,400千円
- 村道維持補修工事 61,400千円
- 木戸脇の村道改良工事の追加 17,000千円
- 防災行政無線戸別受信機予備機の購入 2,916千円
- 前年度繰越金の2分の1を財政調整基金に積立 175,000千円
また、繰越金を補正財源に充て、臨時財政対策債については、27,000千円減額しました。特別会計については国民健康保険事業特別会計について必要な補正を行います。
以上、ご審議いただく案件についてご説明いたしました。詳細については上程の都度詳しくご説明いたしますのでよろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
(おわりに)
この秋は、各地域でお祭りがあったり敬老会、運動会と多くの皆さんが協力して楽しんで頂く機会が多かろうと思います。私もお伺いさせて頂いて村民の皆さんと直接お話ができる場でもあります。
皆さんが集う中で村の将来の事を話す場でもあればよいかと思っています。今年も9月21日の敬老の日を中心に、百歳、米寿の方などにお祝いの訪問をさせて頂く事になっています。今年は百歳の方が5名、米寿の方が56名と、この村を支えてきて頂いた先輩の皆様に心から敬意を表したいと思います。最高齢は106歳であります。皆さんいつまでもお元気で野菜を作ったり、村の歴史や伝統、素晴らしさをしっかり私達に伝えていってもらいたいと願います。
以上本会議に上程いたします議案等について申し上げました。みなさんと共に住みたい地域、夢のある地域に向かっていい村作りにまい進していきますようご尽力をお願いして9月定例議会のあいさつと致します。