阿智村定例議会(平成26年9月10日)村長あいさつ
(はじめに)
今年の夏は前半は好天気、お盆頃から雨が続き、各地区のお祭りやイベントに、そして観光施設、野菜の高騰など大きな影響を与えました。当村では日照時間は平年の46%、雨量も平年の1.6倍だったようです。幸いにも大きな被害がなかったものの、南木曽や広島などの土砂災害で多くの方が命を落とされました。改めまして亡くなられた方のご冥福をお祈りいたすと共に一日も早い復興により安心した生活が送られることを願うものであります。南木曽には7月23日に村と議会からお見舞い金、9月5日には多くの皆様にご協力頂いて日赤阿智村分区として義援金を届けさせて頂きました。又ちょうど1年前には忘れもしない阿智村伍和と浪合を中心に豪雨災害がおきました。現在も急ピッチで災害復旧に取り組んでいますが、各自治体での対応を教訓に阿智村での防災対策につとめて参らなければならないと痛切に感じています。
さて、8月10日には長野県知事選挙が行われ、阿部守一知事が2期目の当選を果たしました。最近の支持率でも80%を超え、1期目から続く安定した支持率で安心で暮らしやすい長野県政の運営に期待したいと思います。ちょうど本年は山岳観光として県が力を入れて取り組み、また清内路を中心とした伝統野菜の取り組みにも応援してくれており、阿智村としても連携してしっかり事業を行っていきたいと考えています。
国政においては、第二次安倍内閣が発足し、政権最大の課題として「元気で豊かな地方の創生」に全力を上げると公約されました。地方の声に耳を傾けて頂き「地方が元気になることが日本が元気になる」という信念に基づいた政策が行われることに期待いたすところであります。そして、この度宮下一郎先生が財務副大臣に就任されました。心からお慶び申し上げますと共に、この地方創生と伊那谷の声を国政に届けていただければと期待するところであります。
又、2015年4月から「子ども・子育て支援制度」「教育委員会制度」の変更が予定されています。私たちはしっかりと学習と理解し、阿智村に即した制度になるよう検討を進めていくべきと考えています。
リニア中央新幹線も最終の環境影響評価書がJR東海さんから提出されました。村としては住民の安心安全を第一に、残土運搬の件など代替ルート等の要望を議会と共に長野県に提出しました。年末にかけJR東海から説明会が計画される事になっています。先日も8つの自治会でリニアの説明会を開催し、色々な意見を頂きました。住民の安全確保と共に、リニア時代をどう地域振興に活かして生きていくか、住民の皆さんと一緒になって考えて参りたいと思います。村民の皆様からは残土の埋め立ての希望や活用等などのご意見も頂いています。今後皆さんの声に耳を傾けリニア対策委員会と協議を重ねる中で方向性を見出していきたいと考えています。
(村の状況)
さて、阿智村ではこの約半年の間にも様々な出来事がありました。
山本慈昭氏の半生を綴った「望郷の鐘」の映画ロケが約1か月にわたって行われました。俳優の内藤剛志さんが山本さん役を務め、山田ひさこ監督の元、戦争や、満蒙開拓の悲劇を二度と繰り返してはならないとの思いで制作され、無事撮影が終了し、11月末の映画上映に向けて準備を進めているところでございます。
又、3年目を迎えた「日本一の星空」の誘客事業は、既に昨年の客数を20%
上回り、多い時には一晩に1,000人ものお客様がヘブンスそのはらや治部坂で鑑賞して頂きました。昼神温泉には7、8、9月と好調で家族、カップルなど若い層のお客様にお越し頂いています。9月27、28日には宇宙飛行士の毛利さんが中央公民間で講演をしてくれる予定になっています。
「阿智の夏まつり」も好天に恵まれ二尺玉の花火も上がり、多くの皆様によって盛大に開催することができました。生涯野球大会、小中学生の沖縄や海外研修、福島の子供たちのキャンプ、山岳観光として阿智セブンサミット、戦没殉難者慰霊祭、婚活事業などこの夏も阿智村の住民の皆さんは、元気にそれぞれの場で活躍して頂きました。
産業面では新農業委員の皆さんの任期が7月にスタートし、産業振興公社の役員さんも変わり新しい体制で、農業振興にご尽力頂いています。商工会のプレミアム商品券も好調な売れ行きで推移しております。
健康についても、トリプルAサポート事業など村民の意識も高まってきつつあり、今年はがん検診の受診率も高く精密に検査できるヘリカルCT受信者も468名の方が受信していただき、今回補正予算でお願いする予定でございます。
村民の村づくりの活動も活発で、現在63ある村づくり委員会に加え平成26年度は新たに11の委員会が誕生しました。公民館活動もチャレンジゆうも例年に増して活動が多く、村民主体の村づくりの礎がしっかり根づていると感じました。今後村づくり委員会を通じて、若い世代の関心を高めるしかけもしていきたいと感じています。
国や県に対して、南信州広域連合や道路の期成同盟会として様々な要望活動
も行ってまいりました。昨年の災害の復旧工事、国道153、256号線、県道の改良工事や治水対策など、設備ができて経年化しておりメンテナンスの重要性もあり、私たちの生活の安全のために、今後も引き続き要望をして参りたいと思います。
全体的な村の景気は、やはり天候不順で観光、飲食業全般で10~30%の減。卸小売業は遠出を控え家庭内で飲食をする傾向が増えた為なのか、前年対比5~10%増でありました。製造業でも6~8月の売り上げは前年並みにあり、10月以降も受注が順調にあると報告を受けており、安心しているところであります。建設業も災害復旧工事がまだ残っており、リフォーム補助金もこの3か月で19件と好調のようであります。
(議会案件について)
平成25年度の決算がまとまりました。歳入総額は一般会計、特別会計併せて約87億円、歳出総額は約77億円、基金や預金で約59億円、起債が79億円であり、健全な財政運営が行われております。細部については議案上程の際、説明させて頂きます。
また、このほど事業評価シートを作成し、平成25年度の事業が内部、外部から見てどうだったかを評価し、現在の、そして来年度事業に向けて分析し、反省を行い、村民益にどの位貢献できたかを検証しています。費用対効果で数字で表すことはなかなか難しいため、どれだけ村民の皆さんに満足して頂けたか、村民のしあわせのために有効な事業やお金が使われたかを、おはかり頂きたいと思っています。
それでは、本議会においてご審議頂く案件は、報告案件2件、人事案件2件、条例案件4件と決算案件7件、予算案件2件であります。
報告案件は専決処分事項に報告するものであります。
専決第5号、平成26年度阿智村一般会計補正予算第2号については、規定の歳入歳出総額に10,000千円を追加し、歳入歳出予算総額を5,164,866千円とするものであります。補正予算の内容は、寄附金による補正であります。
専決第6号、平成26年度阿智村一般会計補正予算第3号については、規定の歳入歳出総額に2,700千円を追加し、歳入歳出予算総額を5,167,566千円とするものであります。補正予算の内容は、治部坂別荘の井戸ポンプの緊急修理工事による補正であります。
人事案件は、教育委員2人の方が9月30日をもって任期が切れますので、任命について議会のご同意をいただくものであります。
条例案件のうち、阿智村福祉医療費支給条例の一部を改正する条例の制定は、「母子及び寡婦福祉法」が「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に改められたことに伴い改正するものです。
阿智村公共物管理条例の一部を改正する条例の制定は、消費税率の改訂に伴い、発電に係る流水占用料を改正するものです。
阿智村若者定住促進集合住宅設置及び管理条例の一部を改正する条例の制定は、智里西及び清内路の住宅建設に伴い改正するものです。
阿智村税条例の一部を改正する条例の制定は、地方税法が一部改正されたことに伴い改正するものです。
決算案件は、平成25年度阿智村一般会計及び各特別会計決算の承認を得るものであります。
一般会計決算は、歳入合計6,594,843,772円、歳出合計5,659,290,732円、歳入歳出差引額935,553,040円、翌年度への繰り越し財源755,600,000円を差し引いた実質差し引き残額は、179,953,040円となりました。昨年度からの繰越金444,607千円、財源補填的繰入金434,058千円を差し引き、年度内積立金559,871千円を加えた単年度実質収支額は、138,841千円の赤字となりました。しかし、財政補填的な臨時財政対策債
226,384千円を借り入れなかったことや起債の繰り上げ償還を250,188千円行ったのでこれを勘案すると337,731千円の実質黒字となります。また、合併算定替による交付税の増加分が574,389千円ありますので、算定替がないと仮定しますと、236,658千円の赤字となります。
歳入についてみてみますと、税制度の改正で村税が7,191千円ほど前年度より増、地方交付税は83,201千円の減となりましたが、国庫支出金、繰入金、村債が758,059千円の増となり、総額では544,990千円の増となりました。
歳出については、人件費が839,376千円と12,365千円前年度を下回りました。この主な原因は、議員定数の減によるものであります。経常的経費は、起債の繰上償還等を行ってきた効果が現れ、210,434千円の減となっています。投資的経費は312,827千円増となっています。災害復旧事業費254,861千円、防災行政無線デジタル化工事の部分払い133,870千円が主なものであります。
特別会計は、国民健康保険事業勘定では、歳入額681,002,710円、歳出額636,169,291円、差引額44,833,419円、直営診療勘定歳入額88,613,752円、歳出額83,565,509円、差引額5,048,243円、水道事業では、歳入額226,417,300円、歳出額215,007,657円、差引額11,409,643円、翌年度への繰り越し財源2,286,000円を差し引いた実質差し引き残額は9,123,643円、下水道事業では、歳入額240,330,444円、歳出額236,088,065円、差引額4,242,379円、農業集落排水事業では、歳入101,188,331円、歳出額100,927,008円、差引額261,323円、翌年度への繰り越し財源1,000円を差し引いた実質差し引き残額は260,323円、介護保険事業では歳入額744,080,502円、歳出額732,351,920円、差引額11,728,582円、後期高齢者医療では、歳入額62,599,518円、歳出額61,812,440円、差引額787,078円となっております。一般会計からの財源補填的な繰入金は、直診勘定で39,532千円、起債償還を中心に水道事業で67,857千円、下水道事業で145,671千円、農集排で84,148千円となっております。
この結果、借金である地方債の現在高は、一般会計で昨年より669,735千円減の4,572,141千円、特別会計で282,299千円減の3,391,708千円となりました。合計では952,034千円減の7,963,849千円であります。
一方貯金である基金残高は、一般会計で昨年度より226,029千円増の5,315,431千円、特別会計では8,177千円減の612,604千円となり、合計では217,852千円増の5,928,130千円となりました。財政の健全化を見る指標についてでは、経常収支比率で基準値を上回る73.8%、実質公債比率は、昨年度より1.0%改善され6.6%となっております。
6月定例議会で詳しくご説明しました各種会計での未収金についてでありますが、その後も滞納整理を進めてまいり、8月4日現在で4,278千円の徴収を行いましたが一般、特別会計合計で63,204千円の未収金となっております。
これ以上の滞納が増えることは全てに悪影響を及ぼすことになります。滞納額の減少のため庁内を挙げて努力してまいります。
予算案件は、一般、特別ともに補正予算についてであります。
一般会計補正予算第4号は、既定の歳入歳出予算5,167,566千円に歳入歳出それぞれ156,104千円を追加し歳入歳出総額5,323,670千円とするものであります。
歳出の主なものは、番号制度導入に向け中間サーバーを整備するための負担金に663千円、自治会が取り組んでいる美しい村づくり事業補助金の追加1,595千円、太陽光発電設置補助金追加2,000千円、清内路振興費で県の元気づくり支援金を活用して野菜の糖度計の購入に1,439千円、後期高齢者医療広域連合負担金の前年度精算による減額△8,232千円、ガン検診の受診者が増えましたので検診委託料追加4,000千円、集会所等の合併処理浄化槽設置の補助金に2,691千円、2月の大雪で被災した農業用ハウスの復旧支援に15,421千円、鹿等の有害獣捕獲報償費追加8,500千円、スタービレッジやインバウンド事業など阿智村観光協会への補助金追加5,435千円、昼神温泉4号井への水位計設置工事に3,000千円、清内路地区で県が行っている急傾斜地対策事業の負担金追加1,150千円、村道、河川の土砂除去等で使用した重機借り上げ料追加13,970千円、村道維持補修工事追加26,900千円、学校給食共同調理場の上下水道加入負担金に2,190千円、前年度の繰越金の2分の1を財政調整基金積立に75,000千円、残りについては、補正財源に充当するとともに、臨時財政対策債を63,700千円減額しました。
特別会計については後期高齢者医療特別会計について必要な補正を行います。
以上、ご審議いただく案件についてご説明いたしました。詳細については上程の都度詳しくご説明いたしますのでよろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
(おわりに)
この秋は、各地域でお祭りがあったり敬老会、運動会と多くの皆さんが協力して楽しんで頂く機会が多かろうと思います。又、実りの秋、一年苦労して育ててきた農作物等収穫の秋でもあります。今年も敬老の日を中心に、百歳、米寿の方などにお祝いの訪問をさせて頂く事になっています。私もこのような立場になってつくづく感じますのは、先人が築いてきてくれたこの阿智村を命がけで守らなくてはならないと同時に、この村の歴史や伝統、素晴らしさをしっかり後世に伝えていく事であります。
6月の議会でも人財の育成に力を入れていきたいと申しました様に、まさに高齢者の皆様はいつまでもお元気で、村の若い者にしっかり知恵を授けて頂きたいと思っています。
以上本会議に上程いたします議案等について申し上げました。みなさんと共に住みたい地域、夢のある地域に向かって一緒になっていい村作りにまい進していきますようご尽力をお願いしてあいさつと致します。